ぼくたちと駐在さんの700日戦争

「で・・・あの・・・山沢先生・・・」

「へい！エイちゃんと呼んでいいんだぜ！」

「えっと・・・エ、エイちゃん・・・」

「なんだい？サティスファイっ！」

サティスファイ？意味わかってんのか？『納得』って意味だぞ？え？

えらいのが担当になったなぁ・・・。
余命短いのに・・・。


「あの・・・僕の病気って・・・・なんなんでしょう？」


「うん。それなんだけど。ヤマザワ、ブルーレイ見て気づきました！」

なんだ・・・？？？ブルーレイって・・・・？？？

「キミの病気は～～～～♪」

いきなりステップ踏んでますが

「風疹 with 風邪！」

with・・・

「サティスファイ？」

「さ・・・さてぃすふぁい」。

とりあえず、エボラ熱でなくってよかった・・・。サティスファイ。

「オレと一緒に風邪になろうっぜーーー！」

と言うなり、いきなり点滴スタンドを斜めにかまえたかと思うと、

　ガッ！

あ～～～！点滴のスタンドけっぽるなーーーーー！

初めて見る点滴スタンドぐるっと一回転。

「I LOVE YOU OK？」

キメのポーズかなんかとってますが

「あ・・・。点滴はずれた」。

あったりまえだっ！
さっさともどせっ！


「チッ、チッ、チッ、ノープロブレム。ファンキーに行こうぜえええ」

おおいにプロブレムです。
とてもファンキーにはなれません。

ようやくからまった点滴チューブを直すと

「ヤマザワ・・・。サクセスしてもちっともうれしくない」

いやいや。サクセスしてください。
お願いですから。
命かかってますから。

「ヤマザワ、患者のために治療してない。誰って・・・自分のために歌ってる」。

それも患者のためにしてください。
歌ってなんだ？

それからいちいち指をたてて首を横に振るのも、できればやめてほしいものです。


「と。冗談はさておいて・・・」。

ようやくまともになりました。安堵とはこの時のためにある言葉です。

「キミ。風疹だから。2週間学校行けないからね」。

「え！」

「第2種指定伝染病だから。しかもこう言っちゃなんだが・・・」。

「はい？」

「その年でかかると重い。ものすっごく重い」。

「ま、まじですか？」

「オレが冗談言ったことあったか？」

さっきまでは、全部冗談に見えましたが。
ちがうのでしょうか？

「ところでキミ・・・・」。

「はい？」

「エーちゃん、好き？」

「えっと。ある程度は・・・」。

「そうかそうか！」

するとE・YAMAZAWA。婦長さんに向かって

「この子。しばらく入院させるから。手続きとっといて」。

「え～～～～～～～」

婦長さんも
「ラッキーね！風疹で入院なんて普通できないのよ？」

いや・・・ラッキーか？

　ガッ！

だから点滴スタンドまわすなーーーー！



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