そうだ。茶木は・・・・?
「泉さん、茶木は?」
「帰っちゃったみたい」。
「え・・・いつの間に」。
「さぁ。泣き顔・・・見られたくなかったんでしょ」。
「あ・・・。ええ・・・」。
「ところで、今からピアノ供養、行くの?」
泉巡査が言いました。
「え?なんです?ピアノ供養って・・・」。
「あ。そうか。君はK小だから知らされてないのね」。
「K小って・・・・」
「あのピアノね。今日、文化の日で、供養されるのよ?」
「え?どういうことですか?」
「さぁ・・・・燃やすってことじゃないかしら?」
「え!ダメだ!あのピアノは燃やしちゃダメなんです!」
あのピアノは那智先生の・・・。
「私に言われても・・・」。
「とにかくダメだ!あのベーゼンドルファーは、ダメなんだ!」
僕たちは、一斉にA小学校に向かってバイクをとばしました。
ダメだ・・・。ベーゼンドルファーは・・・。あのピアノが竹内くんを娘さんと引き合わせたんだ。
あれは・・・那智先生の魂なんだ・・・・。
間に合え!
→ → → → →
A小学校には、何人かの先生方と、卒業生、児童会の生徒などが集まり、その様子を見守っていました。
「小野寺先生!」
「あぁ、君は・・・・」。
その真ん中。
しめ縄がはられ、その中央。紅蓮の炎をあげて燃えているベーゼンドルファー。
「なんで・・・なんでピアノ・・・・燃やしてるんですか?」
「いや。我々も修理を考えただけどね。このピアノ、直すのに家一軒ぶんくらいかかるってことで・・・」。
「でも・・・・!なにも燃やすことは・・・」
「OB会からもそういう声はあったんだけどねぇ。一千万以上かかるんじゃねぇ・・・。いろいろ曰く付きだしね」。
「・・・そんな・・・・」。
「保存しておくにも、トップも割れちゃって・・・。それで供養しようってことになったんだよ・・・」。
僕たちがなにを叫ぼうと、すでに無駄でした。
無駄でしたが、
僕たちは叫ばざるをえませんでした。
「なんで・・・・!」
目の前で、ベーゼンドルファーは、赤く赤く炎をあげ、
やがて1本の足が燃えて、
ガタンと崩れました。
「・・・・那智・・・先生・・・・」。
西条くんが、僕の肩に手をおいた、そのとき、
中の弦を支えていた木のフレームが燃えたのか、
ベーゼンドルファーは
ボーン・・・・と、
泣き声をあげました。
またひとつ
♪ボーーーン
またひとつ。
本日4話連続です。15章 第88話へ→
次の章でベーゼンドルファーの音を再現しています。
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ベーゼンドルファーを燃やすなんて
もっと、知恵が無いんかって、悔しいね
でも、久々の一番のりダイ
悲しすぎます・・・・
でも1番ゲットかな?(笑)
あ、あっー、大切なものを!
ママチヤリに相談してくれればなんとかなったのに!
でも、大切な大切なものが無くなってしまうことって、悲しいけど、あるんですよね。
なんで!
A小の出身者って軍団にもいるのに!
ベーゼンドルファーを燃やす…
どんどん思い出が消えてゆく~
えーーーーーっ!
供養、だなんて・・・・
燃やしちゃう、なんて・・・・・
「のっぽさん部隊」なら、なんとかして復元してくれると信じてたのに・・・・
でも。
ベーゼンの最後の「御礼」の音が鳴ってるんですね・・・。
既に火が回ってましたか…
間に合いたかっただろうけど、時既に遅し…
・・・燃やしちゃうなんてひどい;;
きっと最後の音を鳴らすピアノはいい音なのでしょうか・・・・。
燃えてしまった物は元には戻らないんだよなぁ・・・。
受け止めるしかないのか・・・。
那智先生はどう思ってるんだろう・・・。
『ありがとう』なのか『さようなら』なのか・・・・。
それぞれの想いは天に昇る。
燃やしちゃったんですね・・・
なんとか間に合ってほしかったけど。
間に合わなかったのか...
燃やすなんて悲しいですね。
ベーゼンドルファーを燃やす=那智先生の魂がこの世からいなくなると思うと悲しいです。
ママチャリくんたちが間に合わなかったのは、もしかして那智先生がいいよと言ってくれたのかもしれませんね。
子供たちにメダルを返してあげられたし、竹内くんも娘さんに会うことができたし。
那智先生にも思い残すことがなくなったんでしょう。
そう思わないと切なすぎる。
なんでピアノ燃やしちゃうの…
ピアノがあったから竹内さんお父さんのところに行けたのに…
沢山の人が弾いたピアノ、思いが詰まったピアノを供養してあげるのもいいと思う。
こうきたかぁ!
ピアノが……那智先生の守ったものが……(T_T)
遅かった……。大人って頭固い……私もだが……。燃やすなんて…燃やすなんて……。ばかぁ(T-T)
まさか燃やしてしまうなんて・・・。
あとちょっとで間に合いませんでしたね・・・。
「ピアノが鳴く」って言う表現は、思わずうーんと唸ってしまいました。
くろわっさんの表現力は、すごいですね!
なんて言っていいのか・・・。
ボーーーーン♪
その音色を、みんなどんな気持ちで聞いてたのでしょう
那智先生はどんな演奏をしたのでしょう・・・。
竹内さん親子に・・・。
供養、、、、
想いのこもったものだからこそ、供養ということになったんでしょうが、、、、
あまりに、、、、
ベーゼンドルファーはどんな想いで泣いているんでしょうか・・・。
役目を終えたと思えたんでしょうか・・・。
4話連続で泣かされたら朝から瞼が腫れる(^^;)
コメしつつ実りに見上げる秋の空
おそまつ
那智先生の魂と共にベーゼンドルファーは空へ…。
ベーゼンドルファーはどんな思いを抱いていたのか。気になる所ですね。
やばい・・・
泣きそう・・・
ベーゼルドンファーが、今回の物語の始まりでしたね・・
ベーゼルドンファーのおかげで、ママチャリさんたちが那智先生と出会えたように、
わたしたちも那智先生と出会えました。
形はなくなっても、思いを私たちに伝えてくださって、
どうもありがとうございます。
>りんごあめさん風邪大丈夫ですか
>ご難姫さま、
ありがとうございます♪
ベーゼンドルファーを燃やすなんてあほか!
ベーゼンドルファーと那智先生の物語や西条君と竹内さんのお父さん達の話を知るごとにママチャリの中で那智先生の存在が大きくなって言ったんでしょうね。
死してなおママチャリと心を通わせた那智先生はきっと喜んでると思います。
自分とピアノのために泣いてくれたママチャリに、自分のメッセージをちゃんと受け止めてくれた平和な時代の少年に…。