「まー、でもランサーつったってザラな車だからなぁ」。
「うんうん」。
とは言うものの。
もし「警察が邪魔」だったとして、なぜスミレちゃんで「駐在さん」と解ったか?という疑問は残ります。
グレート井上くん。
「お前、K小でさぁ。連合運動会で、A小に忍び込んだ実行犯って誰なわけ?」
「え?関係ないだろ?」
「関係あるよ。手口が似てるんだろ?トリモチはやっぱり変だ」。
「いや、もう6年も前の話だぞ?」
「6年前なら覚えてるだろ?」
「・・・・・いろいろ。もとより実行するつもりなんかない話だったから」。
「誰だ?」
追求の手を緩めないグレート井上くん。
「・・・・・・・久保・・たち」。
グレート井上くんは「やはり」という顔をしました。
「その眼鏡石のとこから入れるってのも?」
「うん・・・。たぶんね。知ってる。昔、悪ふざけで2階から忍び込んだんだ」。
チャーリー。
「2階からぁ?」
「ほら。雪降るとさ。屋根の雪が下に積もって、落ちても大丈夫だったんだよ」。
これを「忍者部隊月光ゴッコ」と称して遊んだのは、小学校5年の頃。

<忍者部隊月光=1964~66年フジテレビ放映の特撮番組。写真はそのお弁当>
「K小の遊びはわかんないなー」。
「って言うか馬鹿だな」。
「ほっとけよ・・・」。
あれもしこたま怒られたっけ・・・。
「でも今更なんで・・・?」
「連合運動会ないしな」。
同じA小出身の村山くんが、ずっと黙っているのに気づいた僕。
「村山。ありえないもの見たって言ってたよな?」
「え?ああ・・・」。
「わかってるって。茶木のジャガーだろ?」
「ちがう・・・」。
「え?」
「ちがうの?」
「茶木なんだけど・・・」。
「ああ」。
「やっぱそうじゃん」。
「乗ってたのは、ランサーの・・・・河野のランサーの後ろだ」。
「えええええええ!」
その日のうちの河野くん、尋問。
「え?村山、めっけたの?」
意外なことに河野くん、まったく悪びれる雰囲気もありません。
「え!じゃぁ忍び込んだのってやっぱお前らなの?」
「なんだって茶木と一緒に!」
「まぁまぁまぁまぁ」。
静粛にとでも言うように河野くん。
「お前らがまさか、泊まり番してるとは思わなかったんだよ」。
「だからって小学校忍び込むか?」
「いや。トレノ見るまではな」。
「河野ぉおおおお!」
「まぁまぁまぁ」
と、またしてもみんなをたしなめると、
「もっとも言い出したのは久保なんだが。ダチの俺がほっとくわけにいかんだろ?」
「それにしたって立派な犯罪だぞ?」
「お前らには世界一言われたくねぇ」。
ごもっとも・・・。
「実はな。あの日、入らざるをえなかったんだ」。
「だからなんで!」
「話は長くなるんだがな。茶木が仮退院してきたろ?」
「うん」。
「それとどういう関係がある?」
「西条いないから言うけどな。仮退院でよ。茶木がある物を持って帰って来たのが始まりなんだ」。
「なんなんだよ?」
「それは竹内がまだ茶木の妹って、まじめに信じてた頃な。竹内からもらったリボンなんだ」。
「リボン?」
竹内さんは、あんな札付きでも、施設ではいつも自分を守ってくれる茶木を、兄として慕っていました。
実際に「兄ちゃん」と呼んでいたのは、僕たちも知るところで、それがまた孝昭くんが竹内さんを嫌う要因にもなっていました。
「そう。緑色のリボンなんだが」。
「リボン・・・」
「緑色・・・」。
「あの茶木が・・・・」
「だからよ。竹内は、ほら。施設だから、リボンなんてあんま持ってなかったんだが、手元にあったからあげたんだろ?」
「あー・・・」
「うん・・・・」。
「わかんないでもない・・・」。
「で、あんな札付きがな。リボンなんざ持ってるってんで、少年院の同室のやつともめてるうちによ。ほどけたらしいんだ」。
「リボンが?」
「そう。ところがよ。それで、そこに字が書いてあるってことを発見したんだ」。
「字?」
「なんて?」
「昭和なん年度だかの連合運動会って・・・」。
「連合運動会・・・・」。
「それって・・・ひょっとして・・・・」
「たぶんメダルかなんかのリボンだったんだな」。
「メダルはどこ行ったんだ?」
「・・・それは・・・たぶん、ベーゼンドルファーと一緒だよ」。
と、僕。
「あ。戦争か?」
「そう・・・メダルとか、全部、軍に没収された頃があったんだよ」。
河野くんは、僕たちのこの会話を不思議がりましたが、
「でー、茶木がよ。仮退院になった日に、不思議がって施設に持ってったらな」
「ああ」。
「それが竹内の親父の形見らしいってことがわかって・・・・」。
「形見・・・」。
「竹内さんの?」
「間違いないのか?」
「ああ。間違いない。施設じゃ、あずかった物には全部明細があんだ」。
河野くんの言葉には力がありました。
<本日2話連続です。蘭栗でもしてお待ちを>



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「うんうん」。
とは言うものの。
もし「警察が邪魔」だったとして、なぜスミレちゃんで「駐在さん」と解ったか?という疑問は残ります。
グレート井上くん。
「お前、K小でさぁ。連合運動会で、A小に忍び込んだ実行犯って誰なわけ?」
「え?関係ないだろ?」
「関係あるよ。手口が似てるんだろ?トリモチはやっぱり変だ」。
「いや、もう6年も前の話だぞ?」
「6年前なら覚えてるだろ?」
「・・・・・いろいろ。もとより実行するつもりなんかない話だったから」。
「誰だ?」
追求の手を緩めないグレート井上くん。
「・・・・・・・久保・・たち」。
グレート井上くんは「やはり」という顔をしました。
「その眼鏡石のとこから入れるってのも?」
「うん・・・。たぶんね。知ってる。昔、悪ふざけで2階から忍び込んだんだ」。
チャーリー。
「2階からぁ?」
「ほら。雪降るとさ。屋根の雪が下に積もって、落ちても大丈夫だったんだよ」。
これを「忍者部隊月光ゴッコ」と称して遊んだのは、小学校5年の頃。

<忍者部隊月光=1964~66年フジテレビ放映の特撮番組。写真はそのお弁当>
「K小の遊びはわかんないなー」。
「って言うか馬鹿だな」。
「ほっとけよ・・・」。
あれもしこたま怒られたっけ・・・。
「でも今更なんで・・・?」
「連合運動会ないしな」。
同じA小出身の村山くんが、ずっと黙っているのに気づいた僕。
「村山。ありえないもの見たって言ってたよな?」
「え?ああ・・・」。
「わかってるって。茶木のジャガーだろ?」
「ちがう・・・」。
「え?」
「ちがうの?」
「茶木なんだけど・・・」。
「ああ」。
「やっぱそうじゃん」。
「乗ってたのは、ランサーの・・・・河野のランサーの後ろだ」。
「えええええええ!」
その日のうちの河野くん、尋問。
「え?村山、めっけたの?」
意外なことに河野くん、まったく悪びれる雰囲気もありません。
「え!じゃぁ忍び込んだのってやっぱお前らなの?」
「なんだって茶木と一緒に!」
「まぁまぁまぁまぁ」。
静粛にとでも言うように河野くん。
「お前らがまさか、泊まり番してるとは思わなかったんだよ」。
「だからって小学校忍び込むか?」
「いや。トレノ見るまではな」。
「河野ぉおおおお!」
「まぁまぁまぁ」
と、またしてもみんなをたしなめると、
「もっとも言い出したのは久保なんだが。ダチの俺がほっとくわけにいかんだろ?」
「それにしたって立派な犯罪だぞ?」
「お前らには世界一言われたくねぇ」。
ごもっとも・・・。
「実はな。あの日、入らざるをえなかったんだ」。
「だからなんで!」
「話は長くなるんだがな。茶木が仮退院してきたろ?」
「うん」。
「それとどういう関係がある?」
「西条いないから言うけどな。仮退院でよ。茶木がある物を持って帰って来たのが始まりなんだ」。
「なんなんだよ?」
「それは竹内がまだ茶木の妹って、まじめに信じてた頃な。竹内からもらったリボンなんだ」。
「リボン?」
竹内さんは、あんな札付きでも、施設ではいつも自分を守ってくれる茶木を、兄として慕っていました。
実際に「兄ちゃん」と呼んでいたのは、僕たちも知るところで、それがまた孝昭くんが竹内さんを嫌う要因にもなっていました。
「そう。緑色のリボンなんだが」。
「リボン・・・」
「緑色・・・」。
「あの茶木が・・・・」
「だからよ。竹内は、ほら。施設だから、リボンなんてあんま持ってなかったんだが、手元にあったからあげたんだろ?」
「あー・・・」
「うん・・・・」。
「わかんないでもない・・・」。
「で、あんな札付きがな。リボンなんざ持ってるってんで、少年院の同室のやつともめてるうちによ。ほどけたらしいんだ」。
「リボンが?」
「そう。ところがよ。それで、そこに字が書いてあるってことを発見したんだ」。
「字?」
「なんて?」
「昭和なん年度だかの連合運動会って・・・」。
「連合運動会・・・・」。
「それって・・・ひょっとして・・・・」
「たぶんメダルかなんかのリボンだったんだな」。
「メダルはどこ行ったんだ?」
「・・・それは・・・たぶん、ベーゼンドルファーと一緒だよ」。
と、僕。
「あ。戦争か?」
「そう・・・メダルとか、全部、軍に没収された頃があったんだよ」。
河野くんは、僕たちのこの会話を不思議がりましたが、
「でー、茶木がよ。仮退院になった日に、不思議がって施設に持ってったらな」
「ああ」。
「それが竹内の親父の形見らしいってことがわかって・・・・」。
「形見・・・」。
「竹内さんの?」
「間違いないのか?」
「ああ。間違いない。施設じゃ、あずかった物には全部明細があんだ」。
河野くんの言葉には力がありました。
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- 15章 第49話 名もなきメダリスト(2)
- 15章 第48話 名もなきメダリスト(1)
- 15章 第47話 モータードライブが見たもの(20)
①番ゲット
1番ですか
初コメ
うーーーん
意外な展開。
早く続きをみたいけど、寝なきゃそろそろ。
ここで村山君が見たありえないやつがでてくるんですね・・・
ありえないやつ、確かにありえない組み合わせっ
だんだん謎解きになってきましたね☆
2話連続更新お疲れ様です
なんか謎が解けてきました(^^)ワクワク
はっほーい♪
『お父さんの形見』ってことは
あのたけうちって…
UP楽しみにしてます!
乱栗して寝ますzZZ
う~~n 続きが気になって眠れません
そっかぁ~~ やっぱり河野くん達だったのね
でも、複雑な理由があったのねぇ
竹内さんのお父さんも連合運動会に出てたってことは、西条くんのお父さんと肩を組んでたのはやっぱり竹内様のお父さん?
でも竹内って名字はお母さんの名字じゃ…
ランクリしてきました
やっぱり理由があったんですね
でもぼくちゅう見ると元気が出ます
竹内って苗字はおとうさんのだったのか~。
じゃあなぜ施設に?
おかあさんの苗字は?
早く続きよみたいな~~!
初めて①番乗りのチャンスだったんで感想なしでコメしちゃいました
やっと久保と河野が出てきたし、やっぱり写真の人は竹内パパだったり謎解きが始まり続きが気になる
謎は深まるばかりですね~。
「お前らには世界一言われたくねぇ」。
ごもっとも・・・。
読んでる僕も、ごもっとも・・・。
ついに、ままちゃり世界一!
わぁーーーやばい、こういう展開また泣いちゃうかも・・・。
推理してた時の方が楽しかった
けど、やっぱり結末は、知りたい・・・?
やっぱ、人それぞれ、視点が違う訳で、
竹内さんの茶木は、やっぱお兄ちゃんで、
守ってくれるいいひとなんだ。
久保くんの視点、河野君の視点、孝昭、西条
みんなの思いをどうするか楽しみ?
つらい、お話にならなきゃいいけど。
でも、どんな事でもその後が、大事なんだよなぁ・・・。
夜読むと、なんだか難しく考えちゃう。
二話目は朝ぼくしまーーーす。
お父さんの形見ってことはやっぱり…。
「お前らには世界一言われたくねぇ」って確かにそうですよね~。
ママチャリ軍団は今までにいくつ犯罪を犯してきたのか…(^艸^)
確かに、ありえない、、、
とりあえず落ち着いて話を聴いてみよう
竹内さんと写真の竹内さん、親子じゃなかったら伯父さん?
う~~~ん、謎解きむずかしい・・・
あ間違えた村山くんがトレノでランサーは河野くんだ
やっぱし西条パパの横の人って…
竹内さんのお母様、も偶然同じ苗字だったのかな!?
茶木はみんなの敵ではなかったんですか?
久々に登場の河野くんや久保くんには、ママチャリたちとは違う点があるのでしょうが、なんだかいやな予感します。
ママチャリ軍団も昔ほどには、まとまらなくなってきた気がします。
竹内さんって、私生児って設定だったような…
父親が認知してたとしても、名字は父親と同じってことはないはず。
母親も「偶然」竹内だったってのは、あまりにお手軽ストーリーだから、くろわっさんの場合、ないな(笑)
竹内さんの母親がいくつの時に亡くなったのか。
施設の所長が本当の事情を知ってて、あえて「竹内」を名乗らせたとか?
でも、勝手に名前をつけられるのは捨て子とか、名前を知る手立てがないケースだけだったと思うから、これもないかな。
戦争中のカップルって、今じゃ有り得ないケースもあったから…
竹内さんの両親がいとこ同士で、名字が同じって設定の方が自然かなあ?
ともあれ…会長が裏切った(?)んでなくてよかった(T-T)
茶木だよ……茶木相手なのに……久保君に付き合っちゃう河野君……なんかデカイ。
久保君……いい友達いるじゃん~(T-T)
よかったよ~。(T-T)
なんだか話がつながってきたような?
感想の前に、どうしても書いておきたい。
昨日はぼくちゅうの毒者がなぜかお寺に集まって、宿題の感想文の表彰式やってる夢を見ました。表彰されているのは全員小学生で、15人いました。
ところで感想文は象印章がラストの章かや?
本文と関係無いこと書いてごめんなさい(^_^;)
竹内様繋がりだとしても久保くんと会長が茶木とツルムなんて理解出来ましぇえん。
村山くんが見たものは河野会長だったんですね…
続きよもー
少しづつ確信に迫ってきましたねぇ
話は以外な方に進むんでしょうか?
えっ?又、連合運動会?
はへ~?
村山くん。。。
そんな重要なことは、言っとこうよ。。
いくら無口・・口下手でもさ。。
村山君が見たのは会長かぁー!
う・・・・・・・ん、まだわからない。
頭の回転、鈍くなってきたかな・・・・・。 キケンだ。。。
なるほど~
だから竹内なんだ・・・。
でもやっぱり茶木と竹内さんは兄妹じゃないんだよな・・・。
すごいことになりましたね~。
このあと、どうなんだろ・・・・。
気になる!!
河野君悪気があったわけじゃなくてよかった^^
竹内君って、まさかのあの竹内君だったんですね・・・。
軍団が分裂なんて珍しい・・・。
あーなって?こーなって?
なんだかよく分からなくなってきましたww
札付きの悪なのに妹分の竹内さんに貰ったリボンを少年院でも大事に持ってて、竹内さんの身元の手懸かりを見つけると一生懸命動いてくれて…
茶木の犯した罪は許せないものだけど…でも茶木ってどういう人なのかなぁ?リボンで同室のやつと揉めた話ちょっと泣けた(涙)
う-----ん…
なんか『成程っ!』ってなんない(T-T)……★
村山くん、そういえばまだ喋ってなかったんですね。
河野くんが悪意持ってなかったってわかってよかったです
あ゛ぁ~~絡まっちゃった~
いくら竹内様のためでも茶木と行動するのはなぁ…。
会長がママチャリ達を裏切ってる事になりますもんね。
どうなるのやら。
西条くんのことばかり心配してたけど、
久保くんも、竹内さんのことがすきで、大事に思ってるんですね・・
茶木も・・
竹内さんを大事に思ってて。
竹内さんにとっては、大事なお兄ちゃんなんですね・・
なんだか、せつないです。
なんか、みんな少しずつ、不器用ですねぇ。
いろいろ想像しつつ、続き読みに行きます~。
もしかしたら茶木もいいとこあるのかも。。。
いつかちゃんと更生してくれることを願います
茶木にも竹内さんにも当事者しかわからん物語があるんやね。
それぞれの僕駐毒者にもね。
西条くんは怖い存在だけど、ママチャリくんは『西条あっての…』と、武道派にはみられてますからす…?
でも友達は友達!
鎌倉時代に牛車や人力車はあったろうがゴムのタイヤではなかったでしょうね~
モバのかってちゅうもお祓いネタだから倍笑いましたよ!
ジェーミーさんは 本当に面白いです
コメ遅くなってしまいました
なんだか意外な展開ですね
続きが気になります