ぼくたちと駐在さんの700日戦争

みんなが一旦西条くんの家へと集まりました。

初めて仲間に「逃げ腰」な自分をさらした西条くん。

「ケンイチ兄ちゃんの言うとおりだな・・・」。

「まぁ、気にすんな」。
チャーリーがなぐさめます。

「なんで茶木が来てるってわかったんだ？」

「それが～、僕のお手柄で～～～」。

「自分のことは『お手柄』って言わないぞ。ジェミー」。

「あ！大手柄ですかね？」

アップしてどうする・・・。



「あの婦警さんが保護観察官？」

「うん。そうらしい。実は西条を迎えに来てたんだな。あの朝も」。

「そうだったのか・・・」。

西条くんの面持ちは複雑です。

「だてに乳首黒いわけじゃないんだな・・・」。

見てないし、意味がわかりません。


「どうする？まだしばらくうちに泊まるか？」
僕がすすめますが、

西条くん。
「いや。もういいよ。出島は。茶木もしばらくは大人しいだろ」。

「どうかな・・・」。
ジェミーに傷の手当をしてもらいながら孝昭くん。
孝昭くんは、茶木はむろんのこと、竹内さんのことも快くは思っていないようです。

「あの勢いだと、家に火でもつけかねないぞ。西条」。

「はは。まさか。そこまではしねぇよ。茶木も馬鹿じゃない」。
西条くんは笑いますが、

「いや。あいつは馬鹿だ」。
「そうですよ。相手はマンドリルですよ？」

いずれにせよ、今回のことで、茶木の性格はよくわかりました。

「ケンちゃん、どうするつもりかな？茶木」。

「さぁ・・・。上のもんと話するとか言ってたな」。

「茶木のバック？」

「だろ。たぶん」。

「そうなるとなぁ。僕らの範囲じゃないよな・・・」。

「そうそう、パイロット会員にするとか言ってた」。

「なんだそれ？」

「さぁ・・・たぶんプラチナ会員の上なのかも・・・」。

次は万年筆できたか・・・。


その日は、孝昭くんが西条くんの家に泊まることにし、残りは帰宅。


そして翌日。

とうとうフィルム現像が仕上がる日です。
僕は、チャーリーと一緒に、朝から写真屋さんへ。

写真屋さんからベタ焼き（フィルムをそのままプリント用紙に焼き付ける方法）を受け取り、さっそく検証しますが、

「う～～～ん。これと言った物は写ってないなぁ」。

「赤外線もだ」。

「タイマー何分だっけ？」

「20分1枚」。

「うーん・・・・・」。

とりあえず、そのプリントを持ってグレート井上家集合。


「トリモチ？」

「うん・・・空気の抜きかたまで」。

「へぇ・・・不思議なこともあるもんだな」。

グレート井上くんも首をかしげていましたが、

「なんで1本だけ抜いたんだろ？」

「それはねぇ。スペアタイヤがついてるから。2本だと帰れなくなるだろう？」

僕が言いますが

「それはおかしい」。

「え？」

「だって、動けないほうが都合がいいのに、1本だけって理由がないだろ？」

「だからスペアタイヤ・・・」。

「そこだよ。そこが実にお前っぽいっていうか」。

「あ・・・・」。

「案外、お前なんじゃないのか？」
駐在さんと同じことを言うグレート井上くん。

「ばっ！馬鹿言えっ！」

千葉くん。
「小学校のお前が相手じゃ、お前も歯が立たないなぁ」。

意味のわかるようなわからないことを言いました。

「なんでだよっ！」

「小学校の頃のお前って、手加減なかったもんな！」
「あははははは」。

「そ、そんなことないって！」

弁明に必死でしたが、

それはまんざらはずれた話でもありませんでした。
僕の「悪戯」に分別がついたのは、中学校に入る頃で、それまではずいぶんと無茶もしていたものです。


しかし、これまでずっとルーペで写真をにらんでいた森田くんが

「あ！見ろ！」

「え？なんか見つけたか？」

「ここ！」

それは学校の窓を写した写真。
というか、全部同じ光景が写っているわけですが

「え？普通の窓だけど」。
「他とちがわないぞ」。

「ちがう！ほら！」

森田くんはそう言いますが、まったく違いがわかりません。

「このルーペで見てみろ！」

ルーペを受け取り、森田くんの言った窓を見ると・・・・


「あ・・・・・」

「な。窓にうつってるだろ？」

「うん・・・・」。

「どれどれ？なにがなにが？」
「幽霊か？幽霊」。
順番にルーペを回します。


「あーーーー！ほんとだ！これって・・・・」。

「そう。車のテールランプが窓にうつってるんだ」。

「ほんとだー、森田、よく見つけたな～～～～～」。

「かなり特徴的だね」。
と、グレート井上くん。

「うん。これL版かキャビネに引き延ばししてもらおう」。


一度現像した写真を引き延ばすのは簡単です。

写真屋さんで、雁首揃えて待つこと1時間。

「どれどれ～～～～？」

「車種わかるか？チャーリー」。

「チャーリー？」

「・・・・・・・・・・」。

「チャーリー、車種わかるか？」

「・・・ああ。わかる」。



「これって・・・ランサーじゃん・・・」。



※おまたせしてすいませんでした～


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