ぼくたちと駐在さんの700日戦争

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結果が出たらぼくちゅーずデーへもどって～

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第17話 預金者たち(1)


6章-第16話　預金者たち（1）

西条くんは翌日、メンバー全員を招集しました。全員招集、というのは放課後部活のある我々にとっては、極めて珍しいことです。

「みんな！お足下の悪い中・・・」
「だから西条よう。俺ら廊下しか歩いてねーから！な？足下悪くねーんだよ。ぜんぜん」
「お足下以外の挨拶覚えろよっ」

「うんうん。で、今日集まってもらったのはちょっとお願いがあってな」

「ま、またかよ・・・」
「今度は爆弾盗めとか言うんじゃないだろうなぁ？」
「まがりなりにも前回も逮捕者出てんだぜ？」
”まがりなりにも”の使い方がちょっとヘン。

「そうだそうだ。修学旅行前は大人しくしてーんだからさぁ。かんべんしてくれよ」

「いやいや。今度は違う！いい事だ、いい事！偽善事業だ」

「慈善事業”だろ・・・」「偽善じゃ悪いことじゃん」「慣れねぇ言葉使うから」
「で？なんなんだ？」

「うん。実はな、お前らに貯金通帳やろうと思ってな」

「貯金通帳ぉぉぉぉ？」

「なんだ。知らないのか、お前ら。こう、銀行にお金積むとさ。ノートのちっちゃいみたいなのがもらえてな・・・」

「いやいや。西条。さすがに俺らも通帳は知ってるから。しかもお前に教えられたくないからっ！」

「お。知ってれば話は早い」

「じゅうぶん遅せーよ。バカ」

「でな？お前らにも通帳つくってやるわけなんだがー」

「ああ。そいつはありがてーやっ！」
孝昭くん。ヤケです。

「通帳ってのはな。金つまなきゃいけないわけだ」

「だからそれくらい知ってるって！」

「それでー。通帳つくってやるかわりに、金つんでほしいんだな」

どこの銀行が、通帳つくってやるかわり金積め、などと恩着せがましいことを言うのでしょう？
金積めば通帳は勝手にできあがるものです。

「西条。それってさー。簡単に言うと、ゆき姉の銀行に口座つくれってことじゃないの？」

「そーっ！それっ！　ゆき姉さぁ。預金集めの係やってんだよ。協力したいだろ？お前らも」

「いやー。協力したいのはお前だろ？」
「そうそう。ゆき姉と抱き合ったのお前だけじゃん」
孝昭くん。かなり根に持ってます。

この不平不満は完全無視して続ける西条くん。
「ということで、お前ら。ゆき姉の銀行に預金しろっ！」

しかし・・・。

「あのさー。それって"花火盗め"よりずっとむずかしいぞ」
「そうそう。元手ねーもん」
「お前、ある？」
「ない」
「僕もない」
「相当悪戯に金使ってるもんなー。思えば馬鹿な金使いしてるよな」
するどい・・・。

しかしこの不平不満も完璧無視して西条くんが続けます。
「預金したやつには、もれなくゆき姉のな・・・」

「え？なになに？」
「なんだ？なんかもらえるのか？」
「抱擁か？抱擁」
「はやく言え！西条！」
とたんに身を乗り出すメンバーたち。

「ハンコついた通帳、さしあげます」

「なんだよっ！それ！あったりめーだろ？そんなもん！」
「なんだー。下着見れる券とかだと思って期待したのに」
そんな銀行、どこにある。

「だいたいさー。あの支店って、チャーリーの親戚が支店長じゃなかった？」
「え・・・。あああ。伯父さんだよ」

ストップ。このチャーリーの伯父さん、というのもキーポイントです。
覚えておいてくださいね。

「え？そうなのか？」
「なーんだ。ゆき姉。出世し放題じゃん」
高校生のコネの考え方など、この程度です。

「じゃぁ、チャーリーは口座持ってんだな。あそこに」
「ん？いや・・・。郵便局だけ・・・」
「なんで？」
「だって。オヤジが郵便局だもん」

なるほどー。金融一族。

「とにかくさ。口座つくれるような金はぜんっぜんないっ！正月の後とかに言えよ」
断言するメンバーたち。

ここで西条くん。

「ふっふっふ。そう言うと思ってな。秘策を考えておいたんだよ」

「秘策？」

ものすご～くいやな予感がします。


──── 最低最悪の事件発生まであと8日　★★★★★★★★



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