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第16話 Because(4)
この騒ぎの最中、確かに西条くんと駐在さんの戦いはしゅくしゅくと続いていました。
それだけ本人たちは「試合」に集中していた、ということです。
もう柔道着ははだけ、つかみ合いが成り立っていませんでした。
師範は我に戻ってこれを中断。そして試合再開。
西条くんも強いが駐在さんも強い。
「あの駐在さんは何段なんですか?」
僕は、さっき「イボ痔」でブチ切れた「どこだかわかんないイボ痔駐在さん」に尋ねました。
「あー。先輩は四段だ。あの高校生、すごいな。君の友達か?」
と言いながら、道場にかかっている名札を指差しました。
なるほど・・・。駐在さん、四段なんだ・・・。
「普通、四段と二段の差は歴然としてるもんなんだがな」
「ああ・・・。西条、他の武道もやってるから。基礎が違うんだと思います」
「うーん。それにしても強いなぁ。とても高校の柔道部とは思えんな」
「いえ。西条は柔道部じゃありません」
そうです。西条くんは一度も格闘系の部活に入ったことはありません。
幾度かの場外を繰り返し、何度も組み合いをし直す2人。
たがいに息があがっています。
しかし応援していたおまわりさんの一人が
「先輩!高校生なんかに負けんでつかーさい!」
と、叫んだ直後
ふわっ
駐在さんの大外刈りがはいり、西条くんの体が浮きました。
「一本!それまで!」
「あ~~〜〜~・・・・・・」
落胆する西条応援団。大歓びで拍手するおまわりさんたち。
互いに礼をしもどる時に
「西条!」
ゆき姉が西条くんに声をかけました。
「おまえ・・・」
これをさえぎるように駐在さんが言いました。
「お前・・・。わざと負けたな?」
息をきらしながら西条くん、
「そんなことねぇって・・・。駐在・・・強ェよ・・・・」
真相はわかりませんが、僕はこの時、なんとなく思いました。
西条くんは、駐在さんと互角以上に戦えたのですが、応援の「先輩」の声に、駐在さんの立場が頭をよぎったのだと思います。
先輩格のものが、はるか年下の高校生に負ける、というわけにはいかない。
たくさんの勝負をやってきた西条くんならではの判断だったのでしょう。
やがて師範と、おまわりさんたちに詫びをいれながら、道場を出る僕たち。
「どうもすみませんでした」
「いやいや。楽しかったぞ。西条、また遊びに来い」
「いえ・・・、俺は警察ってのはどうにも・・・・・」
「そっか・・・。じゃぁ後で家にでも来なさい」
「はい」
続けて、
「お前ら、悪ガキどもも。また遊びに来てもいいからな」
師範が僕たち全員に言いました。
孝昭くんが代表するように、
「ありがとうございます!イ●ポ師範!」
「ぬぁ!ぬぁにーーーーー!」
「逃げろっーーーーーーーー!!」
やがて近所の公園に逃げ込んだ僕たち。気の毒なのは、ハイヒールで自分の親からつきあいで逃げるはめになったゆき姉です。
ようやく息がおちついた頃
「西条。強くなったねぇ。もうあたしなんかよりずっと強いや」
ゆき姉が西条くんに言いました。
「それより・・・・・・」
「西条。こんなに友達できたんだね・・・。こんなにたくさん・・・・」
「うん。あまりいい友達じゃないけど」
答える西条くん。
「うん。数はいるな。質より量だな」
孝昭くん。笑い出す僕たち。
「あたし。うれしくって。だって・・・西条が友達ずっと、ずっといなかったの・・・」
そう言いながらゆき姉は顔を覆って泣き出しました。
「あたしの・・・せいだったから・・・・・」
声のとぎれるゆき姉。
僕たちは黙り込みました。
「ちがうよ。ゆき姉・・・」
「?」
「だって・・・。だってさ、ゆき姉。初恋の人だもん。なによりも大切だったんだ・・・・・」
Because..........
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第16話 Because(4)
この騒ぎの最中、確かに西条くんと駐在さんの戦いはしゅくしゅくと続いていました。
それだけ本人たちは「試合」に集中していた、ということです。
もう柔道着ははだけ、つかみ合いが成り立っていませんでした。
師範は我に戻ってこれを中断。そして試合再開。
西条くんも強いが駐在さんも強い。
「あの駐在さんは何段なんですか?」
僕は、さっき「イボ痔」でブチ切れた「どこだかわかんないイボ痔駐在さん」に尋ねました。
「あー。先輩は四段だ。あの高校生、すごいな。君の友達か?」
と言いながら、道場にかかっている名札を指差しました。
なるほど・・・。駐在さん、四段なんだ・・・。
「普通、四段と二段の差は歴然としてるもんなんだがな」
「ああ・・・。西条、他の武道もやってるから。基礎が違うんだと思います」
「うーん。それにしても強いなぁ。とても高校の柔道部とは思えんな」
「いえ。西条は柔道部じゃありません」
そうです。西条くんは一度も格闘系の部活に入ったことはありません。
幾度かの場外を繰り返し、何度も組み合いをし直す2人。
たがいに息があがっています。
しかし応援していたおまわりさんの一人が
「先輩!高校生なんかに負けんでつかーさい!」
と、叫んだ直後
ふわっ
駐在さんの大外刈りがはいり、西条くんの体が浮きました。
「一本!それまで!」
「あ~~〜〜~・・・・・・」
落胆する西条応援団。大歓びで拍手するおまわりさんたち。
互いに礼をしもどる時に
「西条!」
ゆき姉が西条くんに声をかけました。
「おまえ・・・」
これをさえぎるように駐在さんが言いました。
「お前・・・。わざと負けたな?」
息をきらしながら西条くん、
「そんなことねぇって・・・。駐在・・・強ェよ・・・・」
真相はわかりませんが、僕はこの時、なんとなく思いました。
西条くんは、駐在さんと互角以上に戦えたのですが、応援の「先輩」の声に、駐在さんの立場が頭をよぎったのだと思います。
先輩格のものが、はるか年下の高校生に負ける、というわけにはいかない。
たくさんの勝負をやってきた西条くんならではの判断だったのでしょう。
やがて師範と、おまわりさんたちに詫びをいれながら、道場を出る僕たち。
「どうもすみませんでした」
「いやいや。楽しかったぞ。西条、また遊びに来い」
「いえ・・・、俺は警察ってのはどうにも・・・・・」
「そっか・・・。じゃぁ後で家にでも来なさい」
「はい」
続けて、
「お前ら、悪ガキどもも。また遊びに来てもいいからな」
師範が僕たち全員に言いました。
孝昭くんが代表するように、
「ありがとうございます!イ●ポ師範!」
「ぬぁ!ぬぁにーーーーー!」
「逃げろっーーーーーーーー!!」
やがて近所の公園に逃げ込んだ僕たち。気の毒なのは、ハイヒールで自分の親からつきあいで逃げるはめになったゆき姉です。
ようやく息がおちついた頃
「西条。強くなったねぇ。もうあたしなんかよりずっと強いや」
ゆき姉が西条くんに言いました。
「それより・・・・・・」
「西条。こんなに友達できたんだね・・・。こんなにたくさん・・・・」
「うん。あまりいい友達じゃないけど」
答える西条くん。
「うん。数はいるな。質より量だな」
孝昭くん。笑い出す僕たち。
「あたし。うれしくって。だって・・・西条が友達ずっと、ずっといなかったの・・・」
そう言いながらゆき姉は顔を覆って泣き出しました。
「あたしの・・・せいだったから・・・・・」
声のとぎれるゆき姉。
僕たちは黙り込みました。
「ちがうよ。ゆき姉・・・」
「?」
「だって・・・。だってさ、ゆき姉。初恋の人だもん。なによりも大切だったんだ・・・・・」
Because..........
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- 6章:第17話 預金者たち(1)
- 6章:第16話 Because(4)
- 6章:第15話 Because(3)
なぜならば・・・それは初恋だったから?
奇麗すぎるぅーーーーー。泣けるぅーーーーー。
降参です。まいりました。m(_ _)m
昨日はちょっと忙しくてコメント休んじゃいました(>_<)
代わりに今日は一番乗り♪
西条君、いい奴ですねぇ(^^)
じゃなかった(>_<)
う~ん。イ●ポからBecauseで感動的に締めちゃうとこがスゴいですよねー。ちょっとこういう小説見たことない。
ひょっとして歴史に残る傑作をライブで読んでるのかな?ぼくら。
ナイスアシスト孝昭「くん」♪
ゆき姉「さん」も やっと言えて良かったね♪
「西条~ありがと~」やねっ♪
コメント、あとでご返事いたしま~す。
お楽しみいただけましたか?みなさん。ここから話はまったくもって意外な方向へ発展します。
ちょっと欠席しちゃいました。メンゴ。
いつもこれ映画だったらどんな場面かなぁって想像します。
西条君の生試合。見たい~!!!
それにしてもBecauseってこんないい単語だったんですね。英語習ってるときは考えもしませんでしたけど。
遅くなりました~笑
今日も思いっきり楽しみました。
今後、意外な展開ってどうなるのでしょ~
いつのまにか出演してるw
もちろん大歓迎ですよ!三段腹でよければ!笑
西条さんの初恋が蘇ってきましたね。
続きが楽しみです^^
くろわっさん出張おつかれさまです!
西条さん・・・素敵過ぎです!!駐在さんにわざと(?)負けるなんて。ゆき姉さんも素敵ですv駐在さん VS高校生を一喝でとめるなんて!?
意外な展開って本当にきになります!!
はい。そのとおりの意味です。まいったか(笑)。
まぁ。なにしろ主人公ですから。
いいヤツでした。ほんと。
一番逃して残念でしたね。タッチの差でした。
もうすこしで「戦火のイラク」行けたのに。残念っ!
いやいや。それほどのもんでもありませんがLiveで読んでる、ってとこはそうでしょうね。ブログですから(笑)。
いつまで続くんでしょう?
よくぞ読み取ってくださいました!それでこそ常連。
そうですね。ここでゆき姉、ずっと言いたかったことを初めて伝えます。なんと9年ぶり。
西条くんもようやく「初恋」であることを伝えるわけですが、問題はこの後。
ラストはちょっとだけ意外な結末です(少しネタバレ)。
だいじょぶ。だいじょぶ。
Becauseは、けっこう英語の歌にありますね。有名どころではビートルズも。でもそれをぱくったわけでなく、今回はあくまで「尾行」のモジリです。
最後の1行は、ずいぶんと前から決めていました。6章、書き始めた頃からですね。書き終わった時、じぶんでも「ずん」ときました。
己の術に己がハマるってやつです(笑)。
えー。びっくりするほど方向転換いたします。
なにしろ大事件でしたから。
今日の深夜あたりにあきらかになってきます。すこーしずつ。
えっとですねー。せっかく出演したのですから、「女子高生に対する幻想」くずさないでくださいね。
せめてここでは「お肌すべすべよ!」と、言い張っててください。誰も疑わないんですから。
この章のラストの方は期待していいと思います。
なにしろむちゃくちゃですから。
西条くんね。ここの章では最後まで素敵です。
そのぶん、孝昭くんとジェミーが壊れまくります。
まったく困ったもんでした。
この話の結末の方は、冒頭でも書きましたように、知ってるかた、たくさんいます。
その方達は、たぶん、いまかいまかと待ってるとは思うのですが。次からすこーしずつ、匂いが出て来ます。
自分で言うのもなんですが、注目です。
あー!めっちゃコメント遅れてしまった・・・。
でもでも、韻の踏み方上手すぎて、また泣きました。
コメントに遅いってことありませんので。
ただ遅刻はとりますけどね(笑)。
なにしろみなさん、ここにいらっしゃる時には、現役でも現役50年過ぎた方にも、高校生でいていただきたいわけです。
青春。時間くぎったやついませんから。
というわけで琴音さん、遅刻。
西条君負けちゃいましたね。
でも、予想はしてました。だって、駐在も主役ですよね。
次が意外な展開ですか?
楽しみです。
小説ブログ昨日は3位でしたね。
今日は何位?
今からポチしに入って確認します。
意外な展開はですねぇ。まぁ、じょじょに入ります。
すでに17話アップしましたが、方向が変わって行きます。
いろいろポイントを入れておりますので、見ながら読み進んでくださいませ!
愛理チャンが好きでした
(*´艸`)キャッ
ゆき姉が言った「西条君わざと負けた」・・・
やっぱママチャリさんもそうだけど、西条君も相手の事を思いやる気持ち持っているんだネ。
柔道って短足で、ホネブトの顔は・・・みたいな人がやってたイメージだったけど・・・。
西条君はどんなタイプの格闘家だったのでしょう?
西条の初恋・・・・・
なんかもう西条の株上がりまくりです。。。
頭の中で超イケメン。。。
西条かっくいーーー!!
イ●ポの後に…
キューンと来てしまいました。
西条かっけー
Because..........
そっか。だからか。
ゆき姉も苦しんでたんですね。そりゃ、そうですね。
だから二年に満たない付き合いだった西条との再会に抱擁までしてしまうのですね。
俺の段持ちの考えと同じ
カッコイイ
何度も読ませていただきました
伊mzの時代なんでしょうか編集されてるのが残念です。