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第13話 Because(1)
西条くんと尾行グループとの席の間には、低いパーティションとポトスなどがおいてあって、確かにすぐには見えません。
とりあえず、大人しくしててくれればいいや。
と、思っておりましたが。
ポトスの向こう側。早くもオレンジジュースグループが「小声で大騒ぎ」しています。
「ばか!なんでストロー吹くんだよっ!きったねぇなぁ!」
「あー。俺、呼吸ヘタなんだ。生まれつき」
「おー!てめーがそういうつもりなら!」
「げ!なにやってんだお前ら!うわぁ!ミックスかよぉ!」
「のめるか!こんなもん!バカ野郎!お前らだけで金払えよっ!」
「え?俺だってやだよ。こんなの飲むの」
「だったら吹くな!馬鹿!あ~あ、たった1杯なのに~」
予想を裏切らぬ展開。
僕はギャラリーたちの監視で気がとられていましたが、ゆき姉と西条くんは、昔の話をしていました。
「突然いなくなったからさ。すっごいびっくりしたんだ。俺」
「ごめんね・・・。私もちっちゃかったからわかんなかったけど。いろいろあったみたい。お家」
「そうそう。先生、元気かな?」
「お父さん?うん。去年一度入院したけど。元気だよ。今は」
「そっかー。会ってみたいなー」
意外なことにいい雰囲気です。
対してギャラリーたちは、その頃、かなり険悪になっていて、とてもこちらに聞耳をたてられる状態ではありませんでした。
クリームソーダ組は、ソーダ部分を誰が飲むかでもめていました。
変形のグラス。目盛りで分けるわけにはいきません。
そこで彼らが出した「平等な方法」は、どうやら各自1秒ずつ飲む、という時間分割方法らしいのですが、そんなもんでうまくいくと思ってるんでしょうか。
「よ、よし。じゃお前からだ」
「おお。ちゃんと数えろよ」
「はい、い~ち!」
「あーーーーー。こいつ1秒で半分飲みやがった!」
「ば、バカ野郎!」
「あーーー!だからって口からもどすな!アホ!」
当たり前です。肺活量ってもんを考えてません。
ほんっっとの馬鹿なんだな。あいつら。
僕が彼らのあまりの馬鹿さ加減に注意をとられているうちに、2人の話は僕のことに及んでいたようです。
「お友達?」
「そう。こいつ親友なんだっ!」
得意げに紹介する西条くん。
僕は、彼の口から「親友」という言葉を聞くのは「物か女がらみ」のときだけでしたので、驚くやら照れるやら。
「そっか!西条、ともだちできたんだね!」
ゆき姉は、自分のことのように喜びました。
きっと引っ越した後も、西条くんが孤独だったことを気にかけていたのでしょう。
「ああ。西条くん、学校では人気ありますよ。男にだけだけど」
タイコモチらしく僕。って、実際にそうでしたが。
「そっか!よかったね。西条」
「うん」
その会話は、小学校時代にもどった2人のものでした。
なんだ・・・。こんなんなら、僕もギャラリーにいるんだったな・・・・。
と、一瞬思いましたが、彼が僕をつれてきた本当の理由は、おそらく「親友」のいることをゆき姉に伝えたかったのだと思います。
「そうそう。ゆき姉、銀行に勤めてんの?」
「そう。あの支店はね。つい先日、転勤したばかりなの」
「ふうん。そっか。窓口にいるのか?」
「窓口もそうだけど。小ちゃい支店だからねー。預金あつめとかも。こないだはその挨拶回りの途中だったんだ」
「そっかー。預金集めかぁ・・・・」
はい。ここで一旦ストップです。なぜならこの西条くんの言ったセリフ「預金集めかぁ」が、とっても重要なポイントなのです。
この言葉のおかげで、僕たちは前代未聞、全国にも例のない大事件を引き起こすことになるのです。
このカフェには1時間くらいもいたでしょうか。
感心するのは、ジュースやらコーヒー1杯で、1時間ねばったギャラリーです。
こんな客がいたんじゃ、このカフェも先々長くありません。
店を出たと同時に西条くんが言いました。
「え、映画でも見る?今、”ジェレミー”やってるんだって」
当時のデートの定番は、カフェ→映画(or遊園地)→喫茶店といったもの。シンプルなものです。
が、ゆき姉。
「ううん。つれて行きたいとこあるんだ。西条を」
と、とある方向に向かって歩き出しました。
当然、尾行のメンバーも店を出ました。振り向くと、またしてもすさまじく怪しいバレバレの尾行を再開していました。
電柱1本に5、6人。
お前ら、どんなに身よせても、そりゃ無茶だって。
しかし、しばらくして街をはずれると、ゆき姉の向かっている方向は、たいへんよろしからざるコースになっていました。
いえ。一般のかたには、どうということもないのですが、僕と西条くんにはよくなかったのです。
それは警察本署。
僕も尾行も驚きです。
な、なんで?警察????
そして、たどりついたのは・・・。警察本署ではありませんでした。
なんととなりにある警察の道場。
「え?ゆ、ゆき姉?どうして?」
「父がね。今ここで柔道教えてるの。会いたいでしょ?西条」
僕と西条くんは驚きました。
我々の驚きをよそに、すいすいと建物に入ると、一礼をして扉を開けるゆき姉。
40帖ほどもある畳敷きの道場。
そしてそこにさらに意外な、というか、向こうにとって意外だったと思うのですが
「ちゅ、ちゅうざい・・・・・・・」
「さ、西条?」
柔道着を着た駐在さんが、驚きの表情でこっちを見ていました。
いよいよ次で西条くんvs駐在さん、本当の直接対決!
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第13話 Because(1)
西条くんと尾行グループとの席の間には、低いパーティションとポトスなどがおいてあって、確かにすぐには見えません。
とりあえず、大人しくしててくれればいいや。
と、思っておりましたが。
ポトスの向こう側。早くもオレンジジュースグループが「小声で大騒ぎ」しています。
「ばか!なんでストロー吹くんだよっ!きったねぇなぁ!」
「あー。俺、呼吸ヘタなんだ。生まれつき」
「おー!てめーがそういうつもりなら!」
「げ!なにやってんだお前ら!うわぁ!ミックスかよぉ!」
「のめるか!こんなもん!バカ野郎!お前らだけで金払えよっ!」
「え?俺だってやだよ。こんなの飲むの」
「だったら吹くな!馬鹿!あ~あ、たった1杯なのに~」
予想を裏切らぬ展開。
僕はギャラリーたちの監視で気がとられていましたが、ゆき姉と西条くんは、昔の話をしていました。
「突然いなくなったからさ。すっごいびっくりしたんだ。俺」
「ごめんね・・・。私もちっちゃかったからわかんなかったけど。いろいろあったみたい。お家」
「そうそう。先生、元気かな?」
「お父さん?うん。去年一度入院したけど。元気だよ。今は」
「そっかー。会ってみたいなー」
意外なことにいい雰囲気です。
対してギャラリーたちは、その頃、かなり険悪になっていて、とてもこちらに聞耳をたてられる状態ではありませんでした。
クリームソーダ組は、ソーダ部分を誰が飲むかでもめていました。
変形のグラス。目盛りで分けるわけにはいきません。
そこで彼らが出した「平等な方法」は、どうやら各自1秒ずつ飲む、という時間分割方法らしいのですが、そんなもんでうまくいくと思ってるんでしょうか。
「よ、よし。じゃお前からだ」
「おお。ちゃんと数えろよ」
「はい、い~ち!」
「あーーーーー。こいつ1秒で半分飲みやがった!」
「ば、バカ野郎!」
「あーーー!だからって口からもどすな!アホ!」
当たり前です。肺活量ってもんを考えてません。
ほんっっとの馬鹿なんだな。あいつら。
僕が彼らのあまりの馬鹿さ加減に注意をとられているうちに、2人の話は僕のことに及んでいたようです。
「お友達?」
「そう。こいつ親友なんだっ!」
得意げに紹介する西条くん。
僕は、彼の口から「親友」という言葉を聞くのは「物か女がらみ」のときだけでしたので、驚くやら照れるやら。
「そっか!西条、ともだちできたんだね!」
ゆき姉は、自分のことのように喜びました。
きっと引っ越した後も、西条くんが孤独だったことを気にかけていたのでしょう。
「ああ。西条くん、学校では人気ありますよ。男にだけだけど」
タイコモチらしく僕。って、実際にそうでしたが。
「そっか!よかったね。西条」
「うん」
その会話は、小学校時代にもどった2人のものでした。
なんだ・・・。こんなんなら、僕もギャラリーにいるんだったな・・・・。
と、一瞬思いましたが、彼が僕をつれてきた本当の理由は、おそらく「親友」のいることをゆき姉に伝えたかったのだと思います。
「そうそう。ゆき姉、銀行に勤めてんの?」
「そう。あの支店はね。つい先日、転勤したばかりなの」
「ふうん。そっか。窓口にいるのか?」
「窓口もそうだけど。小ちゃい支店だからねー。預金あつめとかも。こないだはその挨拶回りの途中だったんだ」
「そっかー。預金集めかぁ・・・・」
はい。ここで一旦ストップです。なぜならこの西条くんの言ったセリフ「預金集めかぁ」が、とっても重要なポイントなのです。
この言葉のおかげで、僕たちは前代未聞、全国にも例のない大事件を引き起こすことになるのです。
このカフェには1時間くらいもいたでしょうか。
感心するのは、ジュースやらコーヒー1杯で、1時間ねばったギャラリーです。
こんな客がいたんじゃ、このカフェも先々長くありません。
店を出たと同時に西条くんが言いました。
「え、映画でも見る?今、”ジェレミー”やってるんだって」
当時のデートの定番は、カフェ→映画(or遊園地)→喫茶店といったもの。シンプルなものです。
が、ゆき姉。
「ううん。つれて行きたいとこあるんだ。西条を」
と、とある方向に向かって歩き出しました。
当然、尾行のメンバーも店を出ました。振り向くと、またしてもすさまじく怪しいバレバレの尾行を再開していました。
電柱1本に5、6人。
お前ら、どんなに身よせても、そりゃ無茶だって。
しかし、しばらくして街をはずれると、ゆき姉の向かっている方向は、たいへんよろしからざるコースになっていました。
いえ。一般のかたには、どうということもないのですが、僕と西条くんにはよくなかったのです。
それは警察本署。
僕も尾行も驚きです。
な、なんで?警察????
そして、たどりついたのは・・・。警察本署ではありませんでした。
なんととなりにある警察の道場。
「え?ゆ、ゆき姉?どうして?」
「父がね。今ここで柔道教えてるの。会いたいでしょ?西条」
僕と西条くんは驚きました。
我々の驚きをよそに、すいすいと建物に入ると、一礼をして扉を開けるゆき姉。
40帖ほどもある畳敷きの道場。
そしてそこにさらに意外な、というか、向こうにとって意外だったと思うのですが
「ちゅ、ちゅうざい・・・・・・・」
「さ、西条?」
柔道着を着た駐在さんが、驚きの表情でこっちを見ていました。
いよいよ次で西条くんvs駐在さん、本当の直接対決!
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- 6章:第14話 Because(2)
- 6章:第13話 Because(1)
- 6章:第12話 私をデートにつれてって(2)
すいません。また寝ちゃいました。
やっぱ人間、夜は寝ますね!あたりまえだけど。
というわけで、ようやくアップです~。すいませんでした~。
でもここ。ブログだから。
何もこんな時にまで駐在さんと会わなくても…。毎度ながら意外な展開ですね!
目が離せませんが、どうぞ無理のない更新を。一日くらい滞ってもみんなゾロゾロ付いて行きますんで。
Goroさん。おはようございます。
前回のコメントで、初めて「奥さん」が登場したので、ひたすら期待していたんですが・・・。
え?人妻ですか?
はいはい。得意でした。高校の頃から!
おはようございます~
どうかご無理をされませんよう
どこまでも、ついていきますから~笑
対決が楽しみですけど。。。
5章はブログ小説史上に残る傑作だと思うけど(いやマジで)、6章もいいなぁ。このテンポが大好き。
なんか「ぼくちゅう」がライフワークになっちゃってませんか?くろわっさん。
柔道着を着るとき、重要なポイントが3つあります。
ひとーつ!素肌の上に柔道着!
ふたーつ!短パン仕込まず柔道着!
みーっつ!ファブ●ーズしてから柔道着!
ちなみに、上二つは女の子で有効。
・・・・・って、友達が言ってました!トモダチ!
欠席届。
明日は「ハンカチをいかに速くアイロンがけできるか大会」出場のため欠席します。
明後日は「教科書をどれだけ学校机の中に押し込めることが出来るか大会」で欠席します。
明々後日は掃除をサボるため欠席します。
一昨日と一昨昨日は池の金魚ちゃんを捕まえるため欠席しました。
あ、これってもちろん公欠ですよね!
なんか、集まってくる人達に キャラが乗り移っちゃって イタコパワ~ッ!
あたしも電柱に入れてぇ~(^○^)
にしても、世の中狭いですねぇ~…悪いコトはデキマセンワ☆
うーん。1年以内で全編終わっちゃいますからね。
ライフワークはむずかしいでしょうけど。
書いてるのがつらかったり楽しかったり。だいぶ生活にくいこんでますね。
ちょっとした時間旅行者気分です。悪くないですよ。
よろしい。公欠OK。
でもさー。なんか「ぼくちゅう」から 悪いとこだけ吸収してないか?
なんか不安。
田舎はこんなもんです。
分母ちっちゃいですからね。どこの誰でも、たどると知り合いにたどりつきます。
住みにくいとこもありましたが、いいこともたくさんありました。
ですから、家々には鍵なんかかかってませんでした。勝手にあがりこんだり。
今はどうかなぁ・・。
直接対決。もうすぐです。
まぁ、ゴジラ対ガメラみたいなもんですね。
どっち強いかよくわかってませんが。
昨日は遠出の後でですねぇ。疲れきっておりまして。
アップしなきゃ・・・。っていう夢見ました(笑)。
こんにちは。AIKOでしたが「アイコ」さんっていうHNの高校生さんがいらっしゃったので区別のためにHN変えました。
ちなみに私が高校生だったのはン年前。
若者に道をゆずります(笑
ランキング増やしたんですね。いいですともっ!殴り込み、やりましょー。ケライですもの。
夜中までお疲れ様です!
ゆき姉との再会、道場に駐在・・・w
もうこれは不思議な縁ですね!運命的だあ(^∀^;)
続きが楽しみ!でも、あんまり無理しないでくださいね。
そうですね。だぶりましたね。HN。
若者に道ゆずるとは偉いなぁ~。
はい。ランキング増やしてみました。もっと高校生とかに読んでほしくって。人気ブログランキングはしばらく1位でしたので、そんなに新しい方来ないと思うんですね。
新しいとこ、参加人数多いので、どうなるか楽しみです。
現在の1位には強者もいるみたいですし。
やっぱり殴り込みはこうでなくっちゃ!
むこう見てびっくりしちゃいましたよ。このおマセさんがぁ。(これだけ読むと意味しんですけど)。
でも元気出て来たみたいで一安心です。
夜中はですね~。本来も仕事してるんですけどね。でも昨夜は寝ちゃいました。
今日は・・・どうかなぁ・・・。
西条くんが男にだけ人気?
ママチャリくんたちの高校の女子は見る目ないですね~。
ここの女性読者にはダントツ人気なのに ( ̄▽ ̄*)
え?学校ではママチャリが人気?・・・やっぱり見る目ないなぁ。
もうじきお昼休みです。
カフェ(ファミレス)から、県警本部の柔道場そりゃお天気関係なかったですネ。
その他大勢のケライ達も、みんなで県警本部までついていったんですかぁ・・・?
そしてそこに現れしは駐在さん・・・サスガです。
ぁあ~~~もぉおもしろすぎる。。。
今年受験だけどこんな高校生になれたらぃいな・・・
当時は携帯もパソコンもない不自由?な時代でしたから~。
不良じゃなくても学校の中でも外でも皆誰かとつるんでましたね。男も女もよくしゃべってた・・・。
それより「ジェレミー」!!!おわっ!てくらい懐かしくて思わず涙・・・。大好きな映画で主演俳優もすっごく好きになってしまったんです。ロビィ・ベンソン。メガネの真面目ーな高校生役でした。その後「ワン・オン・ワン」ていう大学バスケの映画も観ました。
「ジェレミー」はかなり切ないラブストーリーだから、ゆき姉が連れて行ったとこが正解!!だな。
(高校生には刺激強かったんだ・・・西条大変だもの)
やっぱりぼくちゅうサイコーっす!!
めっちゃはまる!
このコメントは管理人のみ閲覧できます
1杯のジュースにストローを2本さして飲むの、憧れました♪
西条さんに「親友」と紹介されて驚くやら照れるやらしているママチャリさん、素敵です。
西条さんにとって「親友」という言葉は簡単に口に出来る言葉ではなかったのでしょうね。