ぼくたちと駐在さんの700日戦争

そのままおもいっきり廊下をひっぱていくキンタ。

「あ～～～～れ～～～～」

まぁ、舞妓はんが、男にひきずられてるってのもかなり珍しい光景ではあるのだが。

なんか自然なようでもある。

ようやく人目につかない階段横の凹みのところで、

「な、なななな、なに考えてんですか！花さん！」

「別れろ切れろは～～～」

「それもういいですから！」

わたしはあらたまると

「キンタ先生こそなに考えてはんの？」

「え？」

「お見合いしないって言ってたくせに」

「え・・・。まぁ・・・それは・・・いろいろと・・・」。

「女センセが男と歩いてはったから？」

さっそく本論。なにしろ時間がない。

「え？」

「まったくバカなんだから！その男の人って、おんなセンセの兄さんよ？」

「はぁ・・・・」

キンタは気の抜けた返事をした。

「だからお見合いなんかすることないんよ！」

「はぁ・・・」

再び抜けた返事。

「女センセはねー。女センセはねー。キンタ先生のこと好きなんやからね？どすえ？」

あーーーー。言ってやった！
なぜか語尾にへんな癖が残ってるけど。

キンタにとっても、さすがにこれは堪えたようだった。

「そう・・・なんですか？」

「うん。うち、聴いてきたもん」

「花さんが？」

「うん。だから、おばあちゃんのすすめる見合いなんかせんと、帰ろ！」

ところが。だ。

「花さん。それはうれしいけど。ちがいますよ？」

え？

「まぁ。男性と歩いてるの見たのは、そりゃ少しはショックでしたが、私はそんなにバカじゃありませんよ？」

え？え？

「じゃ、じゃ、なんで？なんで？」

「どこから話せばいいかなぁ・・・・」。

キンタは少し表情を曇らせた。

「とりあえずここを出たとこに喫茶店がありますから。そこで待っててください」

「あ・・・うん」

「花さんが荒らすだけ荒らした席、なんとかしてこないと」

キンタはそう言うと、今までで一番やさしい笑顔で、笑ってみせた。

「ま。今日のお見合いは相手から断られるでしょうけどね～」

「あ・・・う・・・・」

わたしは「かんにん」のひとことが言えなかった。


出たところの喫茶店・・・。


と。約束はしたものの。

キンタのばか～～～。わたしってば舞妓はんよ？舞妓はん！

そんなもんが喫茶店でパフェ喰ってりゃめだつって～～～～！

って、パフェたのんだのはわたしだが。

どうでもいいけど観光客。ひとがパフェ喰ってるとこ写真撮るなよ。

ああ・・・きっと京都府観光協会から文句が来るにちがいない・・・。
パフェ喰ってる舞妓はん。一度も見たことないもん。

それにしてもうまい・・・。だめだ・・・・。パフェうますぎ。


キンタ～～～。どんだけ待たせんの～～～～？

すでにパフェは3個めに突入。

窓の外には、時間に比例して観光客増える一方なんですけど。

よっしゃ。それならそれで

「おいしゅおすえ～～～～」。

ウィンドウごしに群がった観光客に大サービスだ。


だからフラッシュたくな。あほ！

しかたない。

さらに大サービスのVサイン！


　ぴ～～～～す！


と、体ひねったら


　ぐぇぷ。。。。


ああ・・・。パフェ3個は食い過ぎやった・・・。

「どすえ？」

おそいか・・・。


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