ぼくたちと駐在さんの700日戦争

花ちゃんが出て行ってから、しばらくして
のーのーと入って来たジェミー。

「いや～～～。まいりました～～～」。

「ジェミー!!お、お前なんてことをっ！」

「ありゃ？もうご存知だったんですか？先輩」。

「知ってるもなにも！とにかくすぐこれ脱げ！」

僕はジェミーのスカートの端をとらえて引っ張ります。

「あれ～～～～。ごむたいな～～～～～」。

「ごむたいじゃねーよ！ばか！なにしでかしてんだ！」

「はい～～～。すぐ脱ぎます～～～～」。

無理矢理スカートをひっぱる僕でしたが

「けど、なんで先輩もご存知なんですか？スカートにオシッコひっかけたって」。

あ？

実は反省点が違う？

「なにしろスカートって邪魔なんですよねー。よく女子はこんなんでできますねぇ」。

女子は座ってするからだろ？

って・・・

「オシッコ・・・ひっかけた？」

「ええ。ちょうど今先輩が押さえてるあたりですね！」

ウソ・・・この濡れた感触って・・・。

「おわ～～～～～～～～～～～っっっ！」

「だいじょうぶです～～～。先輩」。

「ん？なにがだいじょうぶだって？」

「さっき、ナタリーさんも同じとこおさえましたから！」

なぐさめになってねーよっ！

っていうか、花ちゃんもおさえちゃったわけ？

お前がオシッコかけたとこを？

「なんかすっごい怒ってましたね！」

「あったりまえだっ！」



花ちゃん。
頭をかかえるようにして、再入室。

「あ～～～っと。花・・・委員長、だいじょうぶだった？」

「だいじょぶじゃないけど・・・。マキロン1瓶かけてきたから・・・」。

バイ菌扱い。
まぁ、無理もない。

「・・・って。なんであんた、下履いてないわけ？」

ジェミーを見て気づきました。

ジェミー。出かけるときからバイオニック化していたので、スカートを脱ぐと替えがありません。
上は僕の学生服を貸しましたが、ズボンはさすがに替えがないわけです。

幸いにして学生服が長いので見えていませんが、その下は豹柄パンツのみ！

「ええええ？そのカッコウで来たの？」

「はい～～～～」。

「お欄さんから聴いてたけど、あなたって・・・バカなのね～～～～」。

「はい～～～～」。

ジェミー。否定しろよ。そこはさすがに。

しかしここでグレート井上くん。
「お欄・・・さん？孝昭の？知ってるの？」

するどく気づきます。

花ちゃんは、それどころではありません。
「じゃ、下はブリーフ一丁なの？」

「いえ。ちがいます～～～～～」。

学生服を上げてみせるジェミー！

そこは当然

　oVo

「キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

花ちゃん卒倒！

しかも外に待機していた他の委員たちまでが

「どうしました？委員長！」
「だいじょうぶですか！委員長！」
「なにかおき・・・」

入って来ましたので

　oVo

「キャーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


ジェミーのばか・・・


ああ・・・・悪夢再び。



「花ちゃん、花ちゃん！」

「う～～～～ん・・・。なんかすっげー悪いもん見た・・・・」。

練習どころではありません。
地が出ちゃってるし。

「ちょ、ちょっと待ってて・・・」。
花ちゃんは、頭をかかえたまま、部屋を出ると、わずかしてまたもどって来ました。

「ほら。これ履いて」。

それは。学生ズボン。それもボンタンという、いかにも不良が履いているシロモノでした。

「ありがとうございますぅ～～～～」。

ここでグレート井上くん。
「さ、斎藤さん。ど、どうしてそんなものが女子校に？」

当然の疑問です。

実は、スケ番グループが男子グループに勝つと、ズボンを脱がせてとりあげるのは当時の常套手段でした。
相手のプライドをうちくだく最も手軽な方法だったからです。
ズボンは、おそらくお蝶夫人グループの「戦利品」なのでしょう。

花ちゃんは
「あ～～～。学芸会用のものです。学芸会の」。

「あ・・・そうか」。

うまくごまかしてくれました。

気をとり直すと花ちゃん。
「なんか・・・時間ないし・・・気分も悪いからイントロと間奏だけ合わせましょうね」。

「はい！そうしましょう！ナタリー婦人」。

こらこらこら！混じっちゃってる、混じっちゃってる！

ようやく下合わせを終えて、フラフラと部屋を後にする花ちゃん。


それを待っていたかのように、グレート井上くんが言いました。

「なんか。お前ら、斎藤さんのこと、前から知ってるようだな？」

するどい！

って、そりゃそうだよなぁ。ボロボロだもん・・・。



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