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第6話 西条!武器をとれ!そして立て(1)
僕たちは、話し合いの末、とうとう駐在さんに「自首」しに行くことに決めました。
駐在さんの怪我も気になります。
分母が多いほうがいいってんで、まったく関連ないやつまで含めて結局12名。実行時の2倍の人数です。
今思えばありがたいことでしたね。まったくやってないのに「自首」につきあうっていうのも。
高校生ならではの友情です。
もっともその80%は駐在さんの奥さん見たさだったにも思えますが。
男子高校生ならではの友情です。
駐在所前で溜息をつく僕たち。
「た、たのもぉ~!」
道場やぶりか?
そして。駐在さんが憮然とした顔で僕たちの前に仁王立ち。
「あ。あの〜・・・」
「入れ」
「はい~・・・」
僕は椅子に座り、残りメンバーは立ったまま。なにしろ狭い駐在所に12名。あふれんばかりです。
ニコリ、ともしない駐在さん。
「これ、なんだと思う?」
額にあてられたガーゼと絆創膏を指差します。
「え、えっとー。こ、恋のおまじない?」
「あ、あーそうそう。ひ、額に好きな子の名前書いて絆創膏で2週間ふたしとくと恋がかなうってやつ!」
「そ、そう言えば、クラスの女子でおおはやりだー」
「ちがうわっ!!」
「・・・・ガラスに3度、こすりつける・・・・だったかな・・・・」
「これはなぁ。怪我したんだよなぁ。怪我。自転車でころんじゃってなー」
「そ、それは災難でしたね・・・・」
「うん。とんでもねー災難だった。なにしろ俺は・・・・」
「はぁ・・・」
「自転車、練習中なものでなぁ。うまく乗れねーんだよなぁ」
く、くそ。
どうにかこの状態を打開しないと・・・。
「仮免許まではあるんだがな?」
「さ、さすが駐在さん・・・ですね」
「キサマら!あれが本当に窃盗犯とか追わなきゃいけなかったら、どうなってたと思うんだ!」
「は・・・はい・・・」
「だ、だから詫びに来てんだろ?」
「そうだそうだ」
「バカ駐在・・・」
極めて小声で反論する後ろのメンバーたち。
「んあ?なんだって?」
「いえ。だから、申し訳なかったなぁ・・・って。ところで、その・・・」
「なんだ?」
「あの・・・こ、これってもう学校に言っちゃいました?」
すっごく肝心な質問です。
「あ?なんでそんなこと聞く?めずらしいな。お前らが学校気にするなんて。普段好き放題ないがしろにしてるクセに」
「え、いえ。別に・・・・・・」
「ははーん。なにか学校に伝わると不都合なことがあるんだな?」
げ!薮に蛇です。
「うん。明日あたり言っちゃおうかなぁ〜とか思ってたが」
「ぐっ・・・」
ああ。修学旅行。風前の灯火。京都大原三千人(※京都には大原という名前の人が3000人いた、という栄枯衰勢の歌)。
「まぁ。君らの心がけ次第では言わないでやらないでもない」
「な、なんでしょう?」
「うん。パトカーがだいぶ汚れてきたしなー。今日、洗車しよっかなーって思ってたんだが・・・」
「あ!そ、それ!やります!なんか僕たち、すっごく車洗ってみたい気分だったんですよ~」
「そうか?そりゃ奇遇だなぁ」
「はい~。奇遇ですね~」
便所掃除にくらべりゃ軽いもんです。なにしろ今度は12名。
「それからうちのスターレットも、ここんとこワックスかけてなくてな・・・」
「あー。ワックスですね。はい。ワックス、かけます。かけます」
便所掃除にくらべりゃ軽いもんです。なにしろ今度は12名・・・。
「そうかぁ。悪いなぁ。君たち」
くそ~。調子にのりやがって。こんな警察官ありか?
みてろ!将来ブログにでも書いて全国に報告してやるっ!などとは、当然当時は思いませんでしたが。
「ついでにな」
「はいはい」
「和菓子屋さんのカリーナも汚れてたなぁ・・ご主人、洗うひまもないほど忙しいって嘆いてたな」
「はぁ?」
「うん。それからほら。お前らが世話になった本屋さんな。あそこのセドリックも泥かぶったまんまだったな」
「ぇぇえええええ?」
という成り行きで、商店街の車、ほとんどを洗車することになった僕たち・・・。
便所掃除にくらべりゃ・・・。軽くねーじゃん!
気が遠くなりました。
が、修学旅行には代えられません。
「お、奥さんにはワックスかけなくていいですか?」
孝昭のバカです。
「んなっ!?たのむかっ!バカ野郎!
「そうそう。それは駐在さんが毎日かけてますよねっ!」
チャーリーのバカ・・・・。
「バカだなー。蝋燭とワックスはちょっと違うんだぞっ」
西条。さらにバカ。
「なっなななななな・・・・・!」
「キサマら!わかったらさっさとやれーーー!!」
というわけで、僕たちは3人ずつ4班に分かれて今度は洗車。
しかし、すでに西条くん。駐在さんとこのスターレットのドアを開け、なにかしています。
「ああ・・・・この助手席に奥さん・・・♥♥」
助手席のシートにすりすりしていました。
ひたすらにうれしそうです。
「あのなぁ、西条。それ女房の車だから助手席は俺が乗るんだ。もっぱら」
「あ”・・・・?」
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僕たちは、話し合いの末、とうとう駐在さんに「自首」しに行くことに決めました。
駐在さんの怪我も気になります。
分母が多いほうがいいってんで、まったく関連ないやつまで含めて結局12名。実行時の2倍の人数です。
今思えばありがたいことでしたね。まったくやってないのに「自首」につきあうっていうのも。
高校生ならではの友情です。
もっともその80%は駐在さんの奥さん見たさだったにも思えますが。
男子高校生ならではの友情です。
駐在所前で溜息をつく僕たち。
「た、たのもぉ~!」
道場やぶりか?
そして。駐在さんが憮然とした顔で僕たちの前に仁王立ち。
「あ。あの〜・・・」
「入れ」
「はい~・・・」
僕は椅子に座り、残りメンバーは立ったまま。なにしろ狭い駐在所に12名。あふれんばかりです。
ニコリ、ともしない駐在さん。
「これ、なんだと思う?」
額にあてられたガーゼと絆創膏を指差します。
「え、えっとー。こ、恋のおまじない?」
「あ、あーそうそう。ひ、額に好きな子の名前書いて絆創膏で2週間ふたしとくと恋がかなうってやつ!」
「そ、そう言えば、クラスの女子でおおはやりだー」
「ちがうわっ!!」
「・・・・ガラスに3度、こすりつける・・・・だったかな・・・・」
「これはなぁ。怪我したんだよなぁ。怪我。自転車でころんじゃってなー」
「そ、それは災難でしたね・・・・」
「うん。とんでもねー災難だった。なにしろ俺は・・・・」
「はぁ・・・」
「自転車、練習中なものでなぁ。うまく乗れねーんだよなぁ」
く、くそ。
どうにかこの状態を打開しないと・・・。
「仮免許まではあるんだがな?」
「さ、さすが駐在さん・・・ですね」
「キサマら!あれが本当に窃盗犯とか追わなきゃいけなかったら、どうなってたと思うんだ!」
「は・・・はい・・・」
「だ、だから詫びに来てんだろ?」
「そうだそうだ」
「バカ駐在・・・」
極めて小声で反論する後ろのメンバーたち。
「んあ?なんだって?」
「いえ。だから、申し訳なかったなぁ・・・って。ところで、その・・・」
「なんだ?」
「あの・・・こ、これってもう学校に言っちゃいました?」
すっごく肝心な質問です。
「あ?なんでそんなこと聞く?めずらしいな。お前らが学校気にするなんて。普段好き放題ないがしろにしてるクセに」
「え、いえ。別に・・・・・・」
「ははーん。なにか学校に伝わると不都合なことがあるんだな?」
げ!薮に蛇です。
「うん。明日あたり言っちゃおうかなぁ〜とか思ってたが」
「ぐっ・・・」
ああ。修学旅行。風前の灯火。京都大原三千人(※京都には大原という名前の人が3000人いた、という栄枯衰勢の歌)。
「まぁ。君らの心がけ次第では言わないでやらないでもない」
「な、なんでしょう?」
「うん。パトカーがだいぶ汚れてきたしなー。今日、洗車しよっかなーって思ってたんだが・・・」
「あ!そ、それ!やります!なんか僕たち、すっごく車洗ってみたい気分だったんですよ~」
「そうか?そりゃ奇遇だなぁ」
「はい~。奇遇ですね~」
便所掃除にくらべりゃ軽いもんです。なにしろ今度は12名。
「それからうちのスターレットも、ここんとこワックスかけてなくてな・・・」
「あー。ワックスですね。はい。ワックス、かけます。かけます」
便所掃除にくらべりゃ軽いもんです。なにしろ今度は12名・・・。
「そうかぁ。悪いなぁ。君たち」
くそ~。調子にのりやがって。こんな警察官ありか?
みてろ!将来ブログにでも書いて全国に報告してやるっ!などとは、当然当時は思いませんでしたが。
「ついでにな」
「はいはい」
「和菓子屋さんのカリーナも汚れてたなぁ・・ご主人、洗うひまもないほど忙しいって嘆いてたな」
「はぁ?」
「うん。それからほら。お前らが世話になった本屋さんな。あそこのセドリックも泥かぶったまんまだったな」
「ぇぇえええええ?」
という成り行きで、商店街の車、ほとんどを洗車することになった僕たち・・・。
便所掃除にくらべりゃ・・・。軽くねーじゃん!
気が遠くなりました。
が、修学旅行には代えられません。
「お、奥さんにはワックスかけなくていいですか?」
孝昭のバカです。
「んなっ!?たのむかっ!バカ野郎!
「そうそう。それは駐在さんが毎日かけてますよねっ!」
チャーリーのバカ・・・・。
「バカだなー。蝋燭とワックスはちょっと違うんだぞっ」
西条。さらにバカ。
「なっなななななな・・・・・!」
「キサマら!わかったらさっさとやれーーー!!」
というわけで、僕たちは3人ずつ4班に分かれて今度は洗車。
しかし、すでに西条くん。駐在さんとこのスターレットのドアを開け、なにかしています。
「ああ・・・・この助手席に奥さん・・・♥♥」
助手席のシートにすりすりしていました。
ひたすらにうれしそうです。
「あのなぁ、西条。それ女房の車だから助手席は俺が乗るんだ。もっぱら」
「あ”・・・・?」
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やった!
未練たらしく、更新まだかな~と思ってたら♪
最近、ぼくちゅうのおかげで、腹筋が鍛えられてる
ような気がしてますよ。
くろわっさん、先日は第5章29話では大変ご面倒をおかけしました。ありがとうございました。
では、また今夜きま~す。
そのせつはありがとうございました~。おかげでまともに見えるみたいです。WIndowsでも。
一番乗りです。一番乗りですけど、なんかコメントの目的が変わって来ているような・・・・。
こんな絶妙な間ぁの取り方は どんな役者さんにしてもらいましょうかねぇ?(^.^)
うふっ、今日も仕事中にきちゃったです。
台風きてるから明日は欠席しちゃうかも。。。。涙
ちゃんとまた「2時の母」ですね~。
感心感心、って、朝起きれるんですか?こんな時間で。
最近、僕もこれ、映画で観たいなー、って思うようになりました。
思うだけですけど。
でも映像とすれば地味でした。町内掃除とかワックスがけとか。
あー。なるほどー。天気図でどのあたりにお住まいかわかっちゃいますね。
すっごくアバウトに。
だいじょうぶです。台風。公欠扱いです。
トイレの次は車ですかw
駐在さんにコキ使われちゃってますねー!
西条さんは相変わらずだし(○´∀`○)笑
続きが気になる21号なのでしたw
あ!コメント非公開にしなくてもいいですよ!
サドルの件はあれですけどw笑
はじめまして。家鴨たみです。
じつはここが独立した時から、こっそり毎日楽しませていただいてました。母の紹介で知ったCG&建築パースブログの方も毎日読んでいます。勝手にリンクを貼っていてすみませんでした;
くろわっさんのコメントをわたしのブログに発見したときは夢かと思いました。こっそり大ファンだったんです。リンクまでしていただいて・・・本当にありがとうございます!
さっそく母にも自慢しておきました。笑
6章も変わらず面白いです。5章では思わず母子でホロリでした。
ぼく駐書籍化、楽しみにしています♪
ブログ・ぼく駐ともに、これからもがんばってください!
本当はままちゃりではなく西条君がくろわっさん??
んなわけないっすね^^
えーっと。「サドルの件はアレ」とか書かれると、とんだ誤解うんじゃうんですけど・・・。
今、「足して2で割って」に、けっこうポイント援助してますからね。
これって巷でウワサの「援交」かぁ?
援助交換
いえいえ。とんでもございません。
それにしても母子でお楽しみいただいているとは、たいへん光栄なのですが、母子で読める内容か?という疑問は多々ございます。
かなり下のほうのネタ出てまいりますし・・・・。
少し「おかあさんといっしょ」を見て研究しま~す。
あのねー。出入り禁止しますよ?
とは言うものの、私=西条 という話は、むこうのブログに「ぼくちゅう」があった時代からございました。
違うと思うんですけどねぇ・・・。なにか心に迷いが・・・。
えー。続きのアップは深夜となることと思いますが、ここからとんでもなく意外な展開になります。
びっくりするくらい。
8話では、とうとうまるで別の世界に入ってしまいますので、心の準備をしておいてくださいね。皆様。
それにしても台風すごいですね~。
saineiさん、大丈夫かな?
映画『アニーよ銃をとれ』から来てるんでしょうか?
いつも思いますが、それぞれのタイトルがいい味出してますね。絶賛。
そうです。そうです。
ミュージカル『アニーよ銃をとれ』から、
台詞「アニーよ銃をとれ、そして撃て」からとってます。
そういうのけっこうあります。
1章「明日へのキックオフ」は、ロッド・スチュアートのアルバム名そのものです。
こんにちは!
さりげなーく「ガラスに3度」って、さだまさしの『パンプキンパイとシナモンティ』ですか?ひょっとして。
あまりにさりげなくて素敵。
はい。おっしゃる通りです。
「シナモンの枝でガラスに3度」からです。よくわかりましたね~。
感心感心。
(*´艸`)サイジョー自爆!
色付きの文字
そろそろ本気で経理の仕事しないとまずいんですけれど・・・。
また読んでしまいました。
やっぱり駐在さんの反撃ありましたネ。
でもその前に自主しているので、刑は軽減されると思うのですが・・・。
洗車私も今本当にやってほしい!!!!
ほかの人の車まで見ているとは・・・色付きの文字
西条さん、
駐在さんのぬくもりを感じたでしょうか?
和菓子屋さんのカローラって…
うちの親が今使ってる車と同じじゃないですか!!!