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ぼくたちと駐在さんの700日戦争
7章 のぶくんの飛行機

第1話-村山を救え!(1)
僕たちが、孝昭くんの家に集合している時のことです。
「なぁ。お前、生徒会長、立候補しろよ」
西条くんが、実に唐突に僕にむかって言いました。
そう。修学旅行も終え、僕たちの学校も生徒会役員の改選時期を迎えていました。
「はぁ?なんで僕が」
「だって、お前なら弁論たつしな。お前の極悪な頭脳だったら絶対当選するって!」
西条。「明晰」って単語、覚えてくれよ。頼むから‥‥‥。
「なんだったら、俺が推薦人になってやってもいいぞ?」
なんでしょう?
なりたくもない生徒会長に、推薦人になってやる、という恩着せがましい言い方。
「いやいや。西条が推薦人じゃアメリカ大統領が立候補したって受かんないって」と、孝昭くん。
「なにぉお!」
「推薦人なら井上か村山だろ。これで女子の票はバッチリだ!」
「それだっ!」
勝手に選挙対策室やってます。
「でーー、上級生は俺がおさえて‥‥‥‥下級生男子は孝昭がおさえれば‥‥‥‥‥」
西条くん。なにやら指を折っていますが、10本で数えきれると思っているのでしょうか?全校生徒。
「すげ!生徒の人数上回るんじゃねぇーか!?」
ホラね・・・・。
これには孝昭選挙対策委員長も、
「いや・・・生徒の人数は上回んないだろ・・・。さすがに」
そもそも西条くん。生徒会役員選挙の仕組みをよく把握していないようです。
「だいたい生徒会長なんかやってなにするわけ?」
推薦人も辞さないと言う限りは、なにがしかの目的があるはず。
「んー、まず俺だったらさぁ〜〜〜〜〜〜〜」
目的1。
「まず女子のスカート短くするな!」
そんなもんだ‥‥‥‥。
「いや‥‥‥‥、そんな権限ないから。生徒会長」
今までそんな会長いたか?
が、西条くん。止まりません。
「そいでさー。会長秘書室つくっちゃうわけだ!」
「おー!それいいな!」
孝昭くん、同調。
「でーーーーー。秘書には、小柳とぉ、佐竹だろう?、それから2組の宮崎あたりもってきてさー」。
「いや、宮崎だったら4組の馬場だろう。俺が思うに」。
すでに人事に入りました。
「はぁ?馬場よりは絶対宮崎だって!バカだな、お前」。
「西条。お前、クラスちがうからわかんねーだろうけどな。宮崎、意外に胸ちっちゃいんだぜ?」
「胸なんか関係ねーよ!どうして女をそういう見方しかできねぇかな~。お前は~」
ほほぉ。西条くん、めずらしくいいことを
「女はな。尻だよ!尻!」
言うはずありません・・・。
「アホ!秘書にはかかせん要素だろうが!胸はよ」
どうも「秘書」そのものを誤解してるようです。この2人。
「胸なんざ、牛乳飲んでりゃでっかくなるって。絶対宮崎っ!」
仮想世界でもめてます。
だいたいすでに定員が決まっているのが理解できません。
馬鹿だな〜。コイツら。
「そいでさぁ。秘書、ひとりずつ呼んでな」
まだその世界にいる西条くん。
「あー、宮崎くん、ちょっとそこに落ちた消しゴム拾ってくれたまえ」。
はぁ?
「うーーん。君、スカート長いねぇ。明日からもっと短めにしてくるよーに!校則違反だよ、君!ってな」
「あー。いいねぇ〜、それ!」
よくねぇよ!
生徒会長を何様だと思っているのでしょう?
「それよりはさ。井上でも立てればいいだろ?井上なら当選するよ」
秘技『オハチ回しの術』!
が、グレート井上くんは、
「あ。いや‥‥‥。僕は、ちょっと無理だな。受験準備しなくちゃいけないし」
「そっか。お前、本当に東京○科大受けるつもりなんだ?」
「うん。美奈子さんとは無関係に、天文、好きになっちゃったからさ。もう少し勉強してみたいんだ」
修学旅行後、僕たちの話題には、頻繁に「受験」が登場するようになっていました。
それは僕たちにとって、そろそろ「悪戯」を卒業する意味も含まれていました。
「ところで夕子ちゃんも受験だろ?ここ受けるわけ?」
夕子ちゃんファンクラブ筆頭孝昭くんがたずねます。
「ああ。受けるみたいだな。夕子、僕より中学の成績いいから、ウチよりいいとこ入れるんだけどな」。
え!夕子ちゃん、うちの高校受けるわけ?そりゃ、オオカミの檻にヒツジ投げ込むようなもんです。
オオカミ代表が言いました。
「やったー!!来年から学生生活、やっとバラ色だ!」
孝昭くん。ずっと脳みそバラ色のくせに。
「ここ受けるってことはー。やっぱ目的は村山かこいつってことか」。
僕にむかって言いました。
「あのなー。なんで僕を含めるわけ?」
「だってこないだのバーベキューやったときも、お前だけソーセージ多かったじゃん」。
「ありゃお前が”俺は魚肉ソーセージは嫌いだ”とか言ったからだろうが!」
「そうだっけ?でも怪しいとこだなー」。
こいつの疑惑、どうしていつも食い物と連携してるんでしょう?
これをおだやかざる気持ちで聞いていたグレート井上くん。
「別に。ここ一番近いからだよ。自転車通学、ここしかできないからな」。
と、そこにあいさつもろくになしに久保くん登場。
「た、たいへんだ!」
かなり息切れてます。
「どうした?」
「そ、そこで村山、捕まってる!」
「村山が?駐在にか?」
「いや、白バイ。あいつ、今度つかまると学校やばいって言ってたろ?」
そうです。僕たちの学校は、信じられないでしょうけれども、かなり厳しく、交通違反は停学の対象となります。
すでに3度の停学をくらっていた村山くんは、これで絶体絶命になるわけです。
「やべ!助けなきゃ!」
孝昭くんが言いました。
「助けなきゃっつったって・・・。駐在ならともかく、白バイだぞ?」
「うーん・・・」
みんなが頭をかかえました。
「もうキップ切られてたか?」
と、僕。
「さぁ・・・。でも捕まりたてみたいだった」。
「じゃぁ、なんとかなるかも」。
「ほんとかよ?」
「ああ。たぶん」。
「さすが極悪人だなぁ。やっぱり秘書室立候補しろよ」。
生徒会長、とびこしてるぞ。西条。
「よし!村山救出に行くぞ!バイク出せ!みんな!」
「ああ。それから孝昭、トイレットペーパーもってこい。新しいロールな」。
「トイレットペーパーぁ???」
7章-第2話へつづく
ぼくたちと駐在さんの700日戦争
7章 のぶくんの飛行機

第1話-村山を救え!(1)
僕たちが、孝昭くんの家に集合している時のことです。
「なぁ。お前、生徒会長、立候補しろよ」
西条くんが、実に唐突に僕にむかって言いました。
そう。修学旅行も終え、僕たちの学校も生徒会役員の改選時期を迎えていました。
「はぁ?なんで僕が」
「だって、お前なら弁論たつしな。お前の極悪な頭脳だったら絶対当選するって!」
西条。「明晰」って単語、覚えてくれよ。頼むから‥‥‥。
「なんだったら、俺が推薦人になってやってもいいぞ?」
なんでしょう?
なりたくもない生徒会長に、推薦人になってやる、という恩着せがましい言い方。
「いやいや。西条が推薦人じゃアメリカ大統領が立候補したって受かんないって」と、孝昭くん。
「なにぉお!」
「推薦人なら井上か村山だろ。これで女子の票はバッチリだ!」
「それだっ!」
勝手に選挙対策室やってます。
「でーー、上級生は俺がおさえて‥‥‥‥下級生男子は孝昭がおさえれば‥‥‥‥‥」
西条くん。なにやら指を折っていますが、10本で数えきれると思っているのでしょうか?全校生徒。
「すげ!生徒の人数上回るんじゃねぇーか!?」
ホラね・・・・。
これには孝昭選挙対策委員長も、
「いや・・・生徒の人数は上回んないだろ・・・。さすがに」
そもそも西条くん。生徒会役員選挙の仕組みをよく把握していないようです。
「だいたい生徒会長なんかやってなにするわけ?」
推薦人も辞さないと言う限りは、なにがしかの目的があるはず。
「んー、まず俺だったらさぁ〜〜〜〜〜〜〜」
目的1。
「まず女子のスカート短くするな!」
そんなもんだ‥‥‥‥。
「いや‥‥‥‥、そんな権限ないから。生徒会長」
今までそんな会長いたか?
が、西条くん。止まりません。
「そいでさー。会長秘書室つくっちゃうわけだ!」
「おー!それいいな!」
孝昭くん、同調。
「でーーーーー。秘書には、小柳とぉ、佐竹だろう?、それから2組の宮崎あたりもってきてさー」。
「いや、宮崎だったら4組の馬場だろう。俺が思うに」。
すでに人事に入りました。
「はぁ?馬場よりは絶対宮崎だって!バカだな、お前」。
「西条。お前、クラスちがうからわかんねーだろうけどな。宮崎、意外に胸ちっちゃいんだぜ?」
「胸なんか関係ねーよ!どうして女をそういう見方しかできねぇかな~。お前は~」
ほほぉ。西条くん、めずらしくいいことを
「女はな。尻だよ!尻!」
言うはずありません・・・。
「アホ!秘書にはかかせん要素だろうが!胸はよ」
どうも「秘書」そのものを誤解してるようです。この2人。
「胸なんざ、牛乳飲んでりゃでっかくなるって。絶対宮崎っ!」
仮想世界でもめてます。
だいたいすでに定員が決まっているのが理解できません。
馬鹿だな〜。コイツら。
「そいでさぁ。秘書、ひとりずつ呼んでな」
まだその世界にいる西条くん。
「あー、宮崎くん、ちょっとそこに落ちた消しゴム拾ってくれたまえ」。
はぁ?
「うーーん。君、スカート長いねぇ。明日からもっと短めにしてくるよーに!校則違反だよ、君!ってな」
「あー。いいねぇ〜、それ!」
よくねぇよ!
生徒会長を何様だと思っているのでしょう?
「それよりはさ。井上でも立てればいいだろ?井上なら当選するよ」
秘技『オハチ回しの術』!
が、グレート井上くんは、
「あ。いや‥‥‥。僕は、ちょっと無理だな。受験準備しなくちゃいけないし」
「そっか。お前、本当に東京○科大受けるつもりなんだ?」
「うん。美奈子さんとは無関係に、天文、好きになっちゃったからさ。もう少し勉強してみたいんだ」
修学旅行後、僕たちの話題には、頻繁に「受験」が登場するようになっていました。
それは僕たちにとって、そろそろ「悪戯」を卒業する意味も含まれていました。
「ところで夕子ちゃんも受験だろ?ここ受けるわけ?」
夕子ちゃんファンクラブ筆頭孝昭くんがたずねます。
「ああ。受けるみたいだな。夕子、僕より中学の成績いいから、ウチよりいいとこ入れるんだけどな」。
え!夕子ちゃん、うちの高校受けるわけ?そりゃ、オオカミの檻にヒツジ投げ込むようなもんです。
オオカミ代表が言いました。
「やったー!!来年から学生生活、やっとバラ色だ!」
孝昭くん。ずっと脳みそバラ色のくせに。
「ここ受けるってことはー。やっぱ目的は村山かこいつってことか」。
僕にむかって言いました。
「あのなー。なんで僕を含めるわけ?」
「だってこないだのバーベキューやったときも、お前だけソーセージ多かったじゃん」。
「ありゃお前が”俺は魚肉ソーセージは嫌いだ”とか言ったからだろうが!」
「そうだっけ?でも怪しいとこだなー」。
こいつの疑惑、どうしていつも食い物と連携してるんでしょう?
これをおだやかざる気持ちで聞いていたグレート井上くん。
「別に。ここ一番近いからだよ。自転車通学、ここしかできないからな」。
と、そこにあいさつもろくになしに久保くん登場。
「た、たいへんだ!」
かなり息切れてます。
「どうした?」
「そ、そこで村山、捕まってる!」
「村山が?駐在にか?」
「いや、白バイ。あいつ、今度つかまると学校やばいって言ってたろ?」
そうです。僕たちの学校は、信じられないでしょうけれども、かなり厳しく、交通違反は停学の対象となります。
すでに3度の停学をくらっていた村山くんは、これで絶体絶命になるわけです。
「やべ!助けなきゃ!」
孝昭くんが言いました。
「助けなきゃっつったって・・・。駐在ならともかく、白バイだぞ?」
「うーん・・・」
みんなが頭をかかえました。
「もうキップ切られてたか?」
と、僕。
「さぁ・・・。でも捕まりたてみたいだった」。
「じゃぁ、なんとかなるかも」。
「ほんとかよ?」
「ああ。たぶん」。
「さすが極悪人だなぁ。やっぱり秘書室立候補しろよ」。
生徒会長、とびこしてるぞ。西条。
「よし!村山救出に行くぞ!バイク出せ!みんな!」
「ああ。それから孝昭、トイレットペーパーもってこい。新しいロールな」。
「トイレットペーパーぁ???」
7章-第2話へつづく