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「は、花火を~〜〜〜?」
「ぬ、盗めだぁ~〜〜〜?」
僕たちはいっせいに声を上げました。
「西条!お前、正気か?」
「ああ」
もっともコイツつに限って言えば、正気なときとそうでないときとの区別はつきにくいのですが。
「は、花火って・・・あのドカンっていうでかいやつ?店で売ってるやつじゃなくて?」
「ああ。店で売ってるヤツは買えるだろ?」
「ウソだろ?」
「たのむよ。お前らしか頼める相手がいないんだ」
「じょ、じょうだんじゃねぇぞ、俺ら犯罪だけはまだやってねーんだぞ!」
と、孝昭くん。
が、みんなが
「うん。お前の暴力事件を除いてな」
「うん。お前の軽犯罪法違反を除いてな」
「うん。それから道路交通法違反を除いてな」
「うん。それから公務執行妨害を除いてな」
「うん。それから迷惑条例違反を除いてな」
「うん。それからお前のわいせつ物陳列・・・」
「うん。それから郵便物・・・」
「も、もういいから・・・俺がまちがってました・・・はい。やってます。犯罪・・・」
「でも、西条。窃盗はやばいよ。それはできないぜ。さすがに」
「うん・・・よくわかってるって・・・わかってっけど・・・・・」
第1話 秘密兵器
今日も僕の自転車の後ろには西条くん。
まぁ、僕たちに限らず、電車通学のやつの半数は、自転車通学のやつの後ろに乗っかっていました。
が。それは去年までの話。
今年、あの駐在さんが赴任してからというもの、なかなかそうはいかなくなりました。
とにかく二人乗りにうるさいのです。駐在さん。
駐在所は、駅へつづく道の途中にありましたから、すぐに目撃、注意されてしまいます。
ただし、それは一般の善良な生徒たちの話であって、僕たちはちがいました。いえ、僕たちもとっても善光寺でしたが。
僕たちは、駐在さんが大声を出すけれど、その時はすでにそこを通り過ぎている、ということをよく知っていました。
ですから、どんな大声で怒鳴られても平気だったのです。
が、
とある日。その状況が一変しました。
例によって西条くんを乗せて駅へと向かう僕。と、その一味。
「どうする?西条。駐在所前は、降りる?」
「いや、俺はそういうコソコソしたのはキライだ!強行突破だ!」
「行け~~~~っ」
と、駐在所前を通過。
しかし。
「むぁて~~~~~!!!」
「あ、あれ?」
いつもは駐在所から出て怒鳴る駐在さんですが、なんとその日は後ろから自転車で追いかけて来たのです。
「え?え?え?」
後ろの西条くん
「逃げろっ!」
「いや、逃げろって言ったって、お前、こっちは二人乗りだぞ?」
それに駐在さんは「元陸上部」とかおっしゃってました。(『俺たちはカメ』参照)
「だいじょうぶだ!」
と、西条くん。なんの根拠があって?
「いいか。重力Gが一定のときは、物の重さにかかわらず速度は一定なんだ。だから逃げ切れる!」
馬鹿!それは「振り子の法則」だろうが!
習いたてだからって、難しいヘリクツこねてんじゃねーよ!しかもお前、乗ってるだけだろ?
振り子の法則が自転車にあてはまるわけもなく、僕たちはあえなく捕まりました(この日は2組4人)。
「ふっふっふっふ。お前らー。凝りもせずよくもよくもよくも毎日毎日毎日・・・」
怒りをおさえているのが見え見えの駐在さん。
「だがな。こっちにも秘密兵器があったんだよ」
「秘密兵器ってこの自転車のことですか?」
「そうだ!名付けて自転車1号だ!」
名前つけてたのか・・・自転車に・・・。しかも「自転車1号」・・・まんまかよ。
だいたいにして秘密っていうほどのもんじゃありません。みんな知ってます。駐在所に自転車があること。
「お前たち」
「はいはい」
「自転車には罰則がないから大丈夫だ、と思ってるだろう?」
「え?え?そ、そんなこと微塵も思ってませんけど・・・」
「そりゃぁもう、反省しっぱなしです。学校のプールより深く!」
が、図星でした。
「ずいぶんと浅いな。お前らの反省・・・」
「え、でも立つと顔うまっちゃうんですよ。プール」
なんの言い合いなんだか・・・。
僕たちのこうした「つまらないギャグ攻撃」には、すでに慣れてしまった駐在さん。
「だがな・・・。俺もいつまでもお前たちを野放しにするつもりはない」
「はぁ」
「普通、1回注意すれば、ほかのガキたちはおさまるもんだが・・・」
「・・・」
「お前らはちょっと違うようだから。罰則考えてきたんだよ」
「えーーーーーっ?」
警察官、それも駐在所が単独で罰則考えるって・・・。
「それでな。君たち、今日は町内の掃除」
「へ?」
「えーっと。聴こえなかったかな?」
「お前ら今日は町内の掃除!」
「えっと。聴こえたかな?」
「ええ。じゅうぶんに・・・・・・」
10分後、商店街の道路に、ほうきとチリトリを持った感心な高校生が4人。せっせと掃除をしておりました。
「あら。あなたたち。かんしんねぇ」
「はい~。街は奇麗にしませんと~」
と、道行くおばさんに笑顔で挨拶しつつ
「くっそ~。みてろ駐在~」
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「ぬ、盗めだぁ~〜〜〜?」
僕たちはいっせいに声を上げました。
「西条!お前、正気か?」
「ああ」
もっともコイツつに限って言えば、正気なときとそうでないときとの区別はつきにくいのですが。
「は、花火って・・・あのドカンっていうでかいやつ?店で売ってるやつじゃなくて?」
「ああ。店で売ってるヤツは買えるだろ?」
「ウソだろ?」
「たのむよ。お前らしか頼める相手がいないんだ」
「じょ、じょうだんじゃねぇぞ、俺ら犯罪だけはまだやってねーんだぞ!」
と、孝昭くん。
が、みんなが
「うん。お前の暴力事件を除いてな」
「うん。お前の軽犯罪法違反を除いてな」
「うん。それから道路交通法違反を除いてな」
「うん。それから公務執行妨害を除いてな」
「うん。それから迷惑条例違反を除いてな」
「うん。それからお前のわいせつ物陳列・・・」
「うん。それから郵便物・・・」
「も、もういいから・・・俺がまちがってました・・・はい。やってます。犯罪・・・」
「でも、西条。窃盗はやばいよ。それはできないぜ。さすがに」
「うん・・・よくわかってるって・・・わかってっけど・・・・・」
第1話 秘密兵器
今日も僕の自転車の後ろには西条くん。
まぁ、僕たちに限らず、電車通学のやつの半数は、自転車通学のやつの後ろに乗っかっていました。
が。それは去年までの話。
今年、あの駐在さんが赴任してからというもの、なかなかそうはいかなくなりました。
とにかく二人乗りにうるさいのです。駐在さん。
駐在所は、駅へつづく道の途中にありましたから、すぐに目撃、注意されてしまいます。
ただし、それは一般の善良な生徒たちの話であって、僕たちはちがいました。いえ、僕たちもとっても善光寺でしたが。
僕たちは、駐在さんが大声を出すけれど、その時はすでにそこを通り過ぎている、ということをよく知っていました。
ですから、どんな大声で怒鳴られても平気だったのです。
が、
とある日。その状況が一変しました。
例によって西条くんを乗せて駅へと向かう僕。と、その一味。
「どうする?西条。駐在所前は、降りる?」
「いや、俺はそういうコソコソしたのはキライだ!強行突破だ!」
「行け~~~~っ」
と、駐在所前を通過。
しかし。
「むぁて~~~~~!!!」
「あ、あれ?」
いつもは駐在所から出て怒鳴る駐在さんですが、なんとその日は後ろから自転車で追いかけて来たのです。
「え?え?え?」
後ろの西条くん
「逃げろっ!」
「いや、逃げろって言ったって、お前、こっちは二人乗りだぞ?」
それに駐在さんは「元陸上部」とかおっしゃってました。(『俺たちはカメ』参照)
「だいじょうぶだ!」
と、西条くん。なんの根拠があって?
「いいか。重力Gが一定のときは、物の重さにかかわらず速度は一定なんだ。だから逃げ切れる!」
馬鹿!それは「振り子の法則」だろうが!
習いたてだからって、難しいヘリクツこねてんじゃねーよ!しかもお前、乗ってるだけだろ?
振り子の法則が自転車にあてはまるわけもなく、僕たちはあえなく捕まりました(この日は2組4人)。
「ふっふっふっふ。お前らー。凝りもせずよくもよくもよくも毎日毎日毎日・・・」
怒りをおさえているのが見え見えの駐在さん。
「だがな。こっちにも秘密兵器があったんだよ」
「秘密兵器ってこの自転車のことですか?」
「そうだ!名付けて自転車1号だ!」
名前つけてたのか・・・自転車に・・・。しかも「自転車1号」・・・まんまかよ。
だいたいにして秘密っていうほどのもんじゃありません。みんな知ってます。駐在所に自転車があること。
「お前たち」
「はいはい」
「自転車には罰則がないから大丈夫だ、と思ってるだろう?」
「え?え?そ、そんなこと微塵も思ってませんけど・・・」
「そりゃぁもう、反省しっぱなしです。学校のプールより深く!」
が、図星でした。
「ずいぶんと浅いな。お前らの反省・・・」
「え、でも立つと顔うまっちゃうんですよ。プール」
なんの言い合いなんだか・・・。
僕たちのこうした「つまらないギャグ攻撃」には、すでに慣れてしまった駐在さん。
「だがな・・・。俺もいつまでもお前たちを野放しにするつもりはない」
「はぁ」
「普通、1回注意すれば、ほかのガキたちはおさまるもんだが・・・」
「・・・」
「お前らはちょっと違うようだから。罰則考えてきたんだよ」
「えーーーーーっ?」
警察官、それも駐在所が単独で罰則考えるって・・・。
「それでな。君たち、今日は町内の掃除」
「へ?」
「えーっと。聴こえなかったかな?」
「お前ら今日は町内の掃除!」
「えっと。聴こえたかな?」
「ええ。じゅうぶんに・・・・・・」
10分後、商店街の道路に、ほうきとチリトリを持った感心な高校生が4人。せっせと掃除をしておりました。
「あら。あなたたち。かんしんねぇ」
「はい~。街は奇麗にしませんと~」
と、道行くおばさんに笑顔で挨拶しつつ
「くっそ~。みてろ駐在~」
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