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ホワイトデー特別編『スイート・ムーン』
第1話
『ホワイトデー』という言葉が生まれたのは、実は1978年。
僕たちが卒業した後になってからです。
しかも実は日本だけ。アメリカにもヨーロッパにも(今でも)そんな日はありません。
この年の数年前、この「お礼のアメをあげる習慣」の話は、なんと「もらう側」の女子によってもたらされました。
このへんが納得いかない部分でもありましたが、当時は『ホワイトデー』とは呼ばず、『キャンデー』とか『マシュマロデー』とか『クッキーデー』とか言われました。
一番有力だったのは、『マシュマロデー』で、次が『クッキーデー』。意外にも飴はマイナーでした。
しかも3月14日は、幸い(?)にして春休み。ですから、男子にとって、この扱いは『コックリさん』なみの、つまりは「どーでもいい」都市伝説みたいなものだったのです。
しかし、僕らのように、用もなく群れていた男子にとってはそうでもありません。
さらに、この年は、僕たちにとって大異変がありました。
あの「西条くん」が正規にチョコをゲットしていたからです。
「なんかよー。チョコのお返ししなきゃいけないんだってよー」。
その年、めずらしくミカちゃん以外からチョコをもらった西条くん。
「知ってるって!それくらい!」
「うん。俺も知ってた」
「俺も~」「おいらも~」
「で?お前ら・・・。やる?」
と、西条くん。
自分で言ったそばから
「あ~~~。わりぃわりぃ!お前ら、もらってねーからいいんだったな!」
つまりはこれが言いたいだけ。
この年、竹内様という3日つきあって4日別れる「パートタイムラバー」を手に入れていた西条くん。
2月14日が、ちょうど「つきあう日」に当たっていたから大いばり。
ところが。
「フッフッフ。西条。なにを好んでバリトンに騙されてコーラスなんぞしてたと思う?」
「あ・・・・!」
そうです。この年だけは、僕たちはコーラス部に参加したので、全員がチョコを獲得していたのでした。
「お前らのは義理じゃん!ぎ~~~り~~~~!」
「義理であろうがチョコはチョコだ」。
「くっそ~~~~~~~!」
西条くんはなにが悔しいのでしょう?
こうして話題は、突如として降って涌いた習慣『クッキーデー』。
もともと、降って涌いた習慣である上、去年までは、まったくこういう「恋愛沙汰」に縁のなかった連中ですので、大変です。
「で、お前ら、なに返す?」
「俺、母ちゃんからカニ缶の詰め合わせもらった」。
「いやぁ・・・河野。カニ缶はおかしいだろ、カニ缶は」。
「あ・・・やっぱり?だって母ちゃんんがよー。俺はサラダ油でいいつったのによ~」。
なんかすごい勘違いしてます。
実際、突如女子から貰い物などをして、こういう勘違いをする親が後を絶ちませんでした。
「孝昭は?」
「ん~~っと。俺はハム」。
「また生ものかよっ!」
「え?だって肉屋のオヤジが、ハムやると恋がかなうって・・・・」。
「馬鹿だなぁ。いくらなんでもハムはないだろ、ハムは!」
「じゃぁ、西条は竹内になにやるつもりだ?」
「俺は・・・・・秘密だ」。
「え!キタネェぞ!」
「そう言うな。大人の情事ってヤツだ」。
「事情だろ・・・馬鹿」。
「お前は和美になにやるんだ?」
西条くん。窮地に陥ると僕にふります。
「え・・・・」。
実は、その前の年も、僕はホワイトデーをやっていました。
メンバーでは一番「女子の扱い」に慣れていると思われていましたから、みんなが僕の答えに注目しました。
「僕は・・・・」。
しかし、もらった相手は、同じコーラス部がメイン。
コイツらとダブっていますから、同じ物を送られても困ります。
まんまと真似されて、めだたなくなってはかないません。
「えっと。桃缶」
「桃缶~~~~~~???」
「だってカニは高いだろ?高校生だし」。
「う~~~ん。それもそうだな~」。
納得してる・・・。
信じられん・・・。
「だから値段も手頃な桃缶だ」。
「なんか・・・」
「そう言われればそうかも」
なわけねーじゃん。
ま。勝手に信じてくれればおんの字。
が。
「夕子ちゃんにもか?」
う・・・・・。
夕子ちゃんが僕にマフラーを送ったことは、グレート兄によって周知の沙汰でした。
「夕子ちゃんには・・・・」
「には?」
「にはには?」
「えっと・・・・伊勢エビ」
「伊勢エビ~~~~~~?」
「あそこは、ほら!ご良家だから」。
「そっか。井上家はそうだよなー」
「うんうん。もっともだ」。
「伊勢エビか~~~」
「それくらいじゃないとな~~~」

こいつら馬鹿だな~~~~~~。
お前らだけ伊勢エビやれ。
実は、僕には僕の計画がありました。
1話で終わらなかった・・・。
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ホワイトデー特別編『スイート・ムーン』
第1話
『ホワイトデー』という言葉が生まれたのは、実は1978年。
僕たちが卒業した後になってからです。
しかも実は日本だけ。アメリカにもヨーロッパにも(今でも)そんな日はありません。
この年の数年前、この「お礼のアメをあげる習慣」の話は、なんと「もらう側」の女子によってもたらされました。
このへんが納得いかない部分でもありましたが、当時は『ホワイトデー』とは呼ばず、『キャンデー』とか『マシュマロデー』とか『クッキーデー』とか言われました。
一番有力だったのは、『マシュマロデー』で、次が『クッキーデー』。意外にも飴はマイナーでした。
しかも3月14日は、幸い(?)にして春休み。ですから、男子にとって、この扱いは『コックリさん』なみの、つまりは「どーでもいい」都市伝説みたいなものだったのです。
しかし、僕らのように、用もなく群れていた男子にとってはそうでもありません。
さらに、この年は、僕たちにとって大異変がありました。
あの「西条くん」が正規にチョコをゲットしていたからです。
「なんかよー。チョコのお返ししなきゃいけないんだってよー」。
その年、めずらしくミカちゃん以外からチョコをもらった西条くん。
「知ってるって!それくらい!」
「うん。俺も知ってた」
「俺も~」「おいらも~」
「で?お前ら・・・。やる?」
と、西条くん。
自分で言ったそばから
「あ~~~。わりぃわりぃ!お前ら、もらってねーからいいんだったな!」
つまりはこれが言いたいだけ。
この年、竹内様という3日つきあって4日別れる「パートタイムラバー」を手に入れていた西条くん。
2月14日が、ちょうど「つきあう日」に当たっていたから大いばり。
ところが。
「フッフッフ。西条。なにを好んでバリトンに騙されてコーラスなんぞしてたと思う?」
「あ・・・・!」
そうです。この年だけは、僕たちはコーラス部に参加したので、全員がチョコを獲得していたのでした。
「お前らのは義理じゃん!ぎ~~~り~~~~!」
「義理であろうがチョコはチョコだ」。
「くっそ~~~~~~~!」
西条くんはなにが悔しいのでしょう?
こうして話題は、突如として降って涌いた習慣『クッキーデー』。
もともと、降って涌いた習慣である上、去年までは、まったくこういう「恋愛沙汰」に縁のなかった連中ですので、大変です。
「で、お前ら、なに返す?」
「俺、母ちゃんからカニ缶の詰め合わせもらった」。
「いやぁ・・・河野。カニ缶はおかしいだろ、カニ缶は」。
「あ・・・やっぱり?だって母ちゃんんがよー。俺はサラダ油でいいつったのによ~」。
なんかすごい勘違いしてます。
実際、突如女子から貰い物などをして、こういう勘違いをする親が後を絶ちませんでした。
「孝昭は?」
「ん~~っと。俺はハム」。
「また生ものかよっ!」
「え?だって肉屋のオヤジが、ハムやると恋がかなうって・・・・」。
「馬鹿だなぁ。いくらなんでもハムはないだろ、ハムは!」
「じゃぁ、西条は竹内になにやるつもりだ?」
「俺は・・・・・秘密だ」。
「え!キタネェぞ!」
「そう言うな。大人の情事ってヤツだ」。
「事情だろ・・・馬鹿」。
「お前は和美になにやるんだ?」
西条くん。窮地に陥ると僕にふります。
「え・・・・」。
実は、その前の年も、僕はホワイトデーをやっていました。
メンバーでは一番「女子の扱い」に慣れていると思われていましたから、みんなが僕の答えに注目しました。
「僕は・・・・」。
しかし、もらった相手は、同じコーラス部がメイン。
コイツらとダブっていますから、同じ物を送られても困ります。
まんまと真似されて、めだたなくなってはかないません。
「えっと。桃缶」
「桃缶~~~~~~???」
「だってカニは高いだろ?高校生だし」。
「う~~~ん。それもそうだな~」。
納得してる・・・。
信じられん・・・。
「だから値段も手頃な桃缶だ」。
「なんか・・・」
「そう言われればそうかも」
なわけねーじゃん。
ま。勝手に信じてくれればおんの字。
が。
「夕子ちゃんにもか?」
う・・・・・。
夕子ちゃんが僕にマフラーを送ったことは、グレート兄によって周知の沙汰でした。
「夕子ちゃんには・・・・」
「には?」
「にはには?」
「えっと・・・・伊勢エビ」
「伊勢エビ~~~~~~?」
「あそこは、ほら!ご良家だから」。
「そっか。井上家はそうだよなー」
「うんうん。もっともだ」。
「伊勢エビか~~~」
「それくらいじゃないとな~~~」

こいつら馬鹿だな~~~~~~。
お前らだけ伊勢エビやれ。
実は、僕には僕の計画がありました。
1話で終わらなかった・・・。
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