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ジェミーが雪を見つめています。
「雪って・・・空から降りて来る白い妖精ですよね・・・・」。
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」。
孝昭くんが答えます。
「あのな・・ジェミー・・」。
「はい?」
「俺ら、今、遭難しかけてるのな。あ?わかるか?そ・う・な・ん」
「ええ。まぁ、なんとなく」。
「しかもな。猛吹雪だから。な?こんな高速で移動する妖精いるか?」
「やだなー。先輩、ロマンってもんがないんだからー。だからモテないんですよー」。
「な、なんだとぉ!おい、こいつ樹氷の仲間入りさせていいか!?」
「まぁまぁ。孝昭。もうそういうおふざけしてる事態じゃないから」。
「だいたいなー!ジェミーがボーゲンしかできねーからこういう目にあってんだぞ!お前、わかってんのか!?」
「え!なんとかクリスチャニアとかできる先輩たちがどーかしてんですよっ!ボーゲンのなにが悪いんです?」
「いや。ボーゲン悪くねぇけどな!ついてくんなよ。はじめっから!スキーできねぇんだったらよぉ!」
はい。僕たちは遭難しかけていました。
そこはスキー場の裏山。ここが最も近道、とふんだ僕たちの計画は、山の天候の変化と、あまりにスキーが素人なジェミーのおかげで著しく危険なものになっていました。
が、視界がきかず急遽ビバークという事態に陥っていながらも、メンバーがメンバーなので、その緊迫感はみじんもありません。
「僕はですねー。先輩がたと違って小学校は東京ですごしてんですーう!東京の交差点でシュテムクリスチャニアとかウェーデルンとかで曲がってるヤツなんかひとりもいませんよっ!」
いや。田舎の交差点もそんなやつはいないけど・・・。
「・・・・」「・・・・」「・・・・」
「いなかもん!」
「やっぱこいつ樹氷の仲間入りさせよーぜ!」
「おおー!」
とたんに激しい雪合戦。
「あー。ジェミーのおかげであったかくなったな」。
「うん」。
「で、これからどうする?」

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ジェミーが雪を見つめています。
「雪って・・・空から降りて来る白い妖精ですよね・・・・」。
「・・・・・・」「・・・・・・」「・・・・・・」。
孝昭くんが答えます。
「あのな・・ジェミー・・」。
「はい?」
「俺ら、今、遭難しかけてるのな。あ?わかるか?そ・う・な・ん」
「ええ。まぁ、なんとなく」。
「しかもな。猛吹雪だから。な?こんな高速で移動する妖精いるか?」
「やだなー。先輩、ロマンってもんがないんだからー。だからモテないんですよー」。
「な、なんだとぉ!おい、こいつ樹氷の仲間入りさせていいか!?」
「まぁまぁ。孝昭。もうそういうおふざけしてる事態じゃないから」。
「だいたいなー!ジェミーがボーゲンしかできねーからこういう目にあってんだぞ!お前、わかってんのか!?」
「え!なんとかクリスチャニアとかできる先輩たちがどーかしてんですよっ!ボーゲンのなにが悪いんです?」
「いや。ボーゲン悪くねぇけどな!ついてくんなよ。はじめっから!スキーできねぇんだったらよぉ!」
はい。僕たちは遭難しかけていました。
そこはスキー場の裏山。ここが最も近道、とふんだ僕たちの計画は、山の天候の変化と、あまりにスキーが素人なジェミーのおかげで著しく危険なものになっていました。
が、視界がきかず急遽ビバークという事態に陥っていながらも、メンバーがメンバーなので、その緊迫感はみじんもありません。
「僕はですねー。先輩がたと違って小学校は東京ですごしてんですーう!東京の交差点でシュテムクリスチャニアとかウェーデルンとかで曲がってるヤツなんかひとりもいませんよっ!」
いや。田舎の交差点もそんなやつはいないけど・・・。
「・・・・」「・・・・」「・・・・」
「いなかもん!」
「やっぱこいつ樹氷の仲間入りさせよーぜ!」
「おおー!」
とたんに激しい雪合戦。
「あー。ジェミーのおかげであったかくなったな」。
「うん」。
「で、これからどうする?」
