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第8話 ドラゴン大会(2)
「よーし!じゃぁ、次、ドラゴン、いきま~す♪」
大張り切りのジェミー。

「次はお待ちかね!ドラゴンですっ♪」
「さぁ!次はすごいですよ~! ドラゴンでーす♪」
「はい!奇麗でしたね!では次はなんだと思いますか~?みなさん!」
「・・・ドラゴン・・・・・・」
「大当たり!ドラゴンでしたー♪」
「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「おい。花火大会って言って呼んどいて、なんでドラゴンばっかなんだよっ」
後から呼ばれた孝昭くんたちは、不満たらたら。呼んだ僕に文句を言います。
「うん・・・深い事情があるんだよ・・・」
これに対してジェミー猛反発。
「えーっ!先輩の言う通りにしてたら、これ全部ロケット花火だったんですよっ」
「だからぁ、ロケット花火は目的があったんだよっ!」
「あんな汚いの花火じゃありません!」
「・・・・・・・」
ひととおり言うと、またジェミーが盛り上がります。
「さぁ!じゃぁ次のドラゴンは、どんなドラゴンかなぁ?」
「・・・おんなじだと思いま~す・・・」と、僕たち。
「違います!」
「お?なにか芸あるのか?」
「次はふたつ一緒ドラゴンでーす」
「はぁ・・・・」
結局ドラゴンかよ・・・。まぁ、それしか買ってないっていうんだから、それしかないわけなんですが。
ますますハイテンションなジェミーに、
「なぁ。あと何個あるわけ?ドラゴン・・・」
「大丈夫です!イッパイあります!」
「いや、大丈夫か聴いているんじゃなくって。いくつ残っているわけ?」
「うーん。あと50個くらいですかね〜。だいぶやりましたから」
「え?お前全部で40個って言ってなかったか?」
「やだなぁ。先輩。僕のポケットマネーで買い足してきたんですよ~」
「え!ドラゴンを?」
「もちろんです。だって足りなくなっちゃったら困るから」
誰も困りませんけど・・・。
「お前、ほかの花火をとりそろえようとか、まったく思わなかったわけ?」
「え?あたりまえでしょ?」
なにが「あたりまえ」なのでしょう?
これだけ同じ花火が続くとすでに拷問です。
僕たちのドラゴン大会(すでに花火大会ではない)会場のはるか向こう側で、星の観測をする美奈子さんと、そしてそれにつきそうグレート井上くんの姿がありました。
まぁ。とりあえず向こうがうまくいってればいいかぁ。
結局、後から来た者を含めて、姫沼には14名のメンバーが集まりました。
口実は「花火大会をやるから来い」です。
もちろん「駐在さんの奥さんの妹がいるから来い」と言えば、まずまちがいなく全員が集まったのでしょうが、そうするとグレート井上くんを優先する、などということはまったくもって不可能になってしまうので「女性」はなるべく伏せておりました。
むろん、到着したメンバーは、美奈子さんにビックリ!
だって、あの憧れの奥さんが、若くて独身になっているわけなのですから、それはたまりません。
それでも西条くんと孝昭くんさえ制止できれば、他の面々が暴走するようなことはないので、この人数は悪くありませんでした。
しかし。この花火大会はもっとビックリでした。
だって、始めてからずーーーーーーーーーーっと、ドラゴンだけ。
みなさんはご経験ありますでしょうか?ずっと同じ花火が続く苦痛。
たまに混じる線香花火が、まるで宝石のように美しく見えました。
いいかげんドラゴンに飽きた僕たちは、ヒソヒソとグレート井上くんのことを話していました。
「しかし驚きだな。あの井上がねぇ。奥さんにはさほど興味なさそうだったのにね」
まぁ「奥さん」に興味があるっていうコイツらも困りものではあるのですが・・・・。
「いや。確かによく見ると違うんだよね。なんか奥さんより活発さがあるっていうかさ」
「ふうん。そこにまいっちゃったのかな」
「どうやら。ほとんど一目惚れだったんだよ」
「それでも俺らより2つも上だろ?」
「女子大生だからね」
「井上ってサ。妹の夕子ちゃんがめちゃくちゃカワイイだろ?年下はダメなんだよな。きっと」
孝昭くんにしては、たいへん核心をついた分析でした。
「そりゃさすがの井上君でも実らんだろう?」
そんなこと、グレート井上くんも百も承知に違いありませんでした。
でも、今までもメンバーの「恋」にはいつもみんなが協力しました。そこには「たいていフラれる」という安堵感があったからなのですが。
「先輩!」
この花火を無視したひそひそ話に、ジェミーが激怒。
「先輩、僕にばっかりやらせて、花火見てないでしょ!」
「え?んー。大丈夫。もう暗記したから。ドラゴン」
「よーし。先輩がたがそういうつもりなら・・・!」
そう言うなりジェミーは、10本ほどのドラゴンにいっきに火をつけると、それをこちらに投げつけ始めたのです!
「ば、ばか~~~!な、なにする! う、うわっっち、あちぃー!」
危ねーの危なくないの!
「うわぁ!あち!このバカ!あちちちちち!」
もちろん、西条くんや孝昭くんがやられっぱなし、ということはなく、そのドラゴンをひろってジェミーに投げ返します。
が、ジェミーは、次から次にドラゴンに火をつけ、あたりかまわず投げつけます。
阿鼻叫喚!
飛び交う火の粉!
ちょうど雪合戦をドラゴンでやっているようなものです。危ないとかそういうレベルではありません。
まーーーー熱いわ熱いわ!
皮肉なことに、これが本日、一番美しい花火でした。
この騒ぎを見ていた美奈子さんは、おなかをかかえて笑っていました。
その横で、幸せそうなグレート井上くん。
でも、楽しい時間は、花火と同じように一瞬で過ぎて行きます。
「遅くなる前に帰りましょうか」
「そうですね」
「今夜はほんっと楽しかった!ありがとう、井上くん。みんな」
時計は9時半をまわっていました。
僕たちが帰ろうとした際、噂通りバイクに乗った若者が数名現れましたが、これも予想通り、西条くんと孝昭くんがあっけなく追っ払いました。
空には満点の星。
最後に美奈子さんが言いました。
「そうそう。今日はウルトラマン一家、マクドナルドでハンバーガー食べてたわ。8mくらいあったかしら」
僕たちは笑いました。が、当時の田舎者はマクドナルドなど、まったく知らないのでした(哀)。
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大張り切りのジェミー。

「次はお待ちかね!ドラゴンですっ♪」
「さぁ!次はすごいですよ~! ドラゴンでーす♪」
「はい!奇麗でしたね!では次はなんだと思いますか~?みなさん!」
「・・・ドラゴン・・・・・・」
「大当たり!ドラゴンでしたー♪」
「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「おい。花火大会って言って呼んどいて、なんでドラゴンばっかなんだよっ」
後から呼ばれた孝昭くんたちは、不満たらたら。呼んだ僕に文句を言います。
「うん・・・深い事情があるんだよ・・・」
これに対してジェミー猛反発。
「えーっ!先輩の言う通りにしてたら、これ全部ロケット花火だったんですよっ」
「だからぁ、ロケット花火は目的があったんだよっ!」
「あんな汚いの花火じゃありません!」
「・・・・・・・」
ひととおり言うと、またジェミーが盛り上がります。
「さぁ!じゃぁ次のドラゴンは、どんなドラゴンかなぁ?」
「・・・おんなじだと思いま~す・・・」と、僕たち。
「違います!」
「お?なにか芸あるのか?」
「次はふたつ一緒ドラゴンでーす」
「はぁ・・・・」
結局ドラゴンかよ・・・。まぁ、それしか買ってないっていうんだから、それしかないわけなんですが。
ますますハイテンションなジェミーに、
「なぁ。あと何個あるわけ?ドラゴン・・・」
「大丈夫です!イッパイあります!」
「いや、大丈夫か聴いているんじゃなくって。いくつ残っているわけ?」
「うーん。あと50個くらいですかね〜。だいぶやりましたから」
「え?お前全部で40個って言ってなかったか?」
「やだなぁ。先輩。僕のポケットマネーで買い足してきたんですよ~」
「え!ドラゴンを?」
「もちろんです。だって足りなくなっちゃったら困るから」
誰も困りませんけど・・・。
「お前、ほかの花火をとりそろえようとか、まったく思わなかったわけ?」
「え?あたりまえでしょ?」
なにが「あたりまえ」なのでしょう?
これだけ同じ花火が続くとすでに拷問です。
僕たちのドラゴン大会(すでに花火大会ではない)会場のはるか向こう側で、星の観測をする美奈子さんと、そしてそれにつきそうグレート井上くんの姿がありました。
まぁ。とりあえず向こうがうまくいってればいいかぁ。
結局、後から来た者を含めて、姫沼には14名のメンバーが集まりました。
口実は「花火大会をやるから来い」です。
もちろん「駐在さんの奥さんの妹がいるから来い」と言えば、まずまちがいなく全員が集まったのでしょうが、そうするとグレート井上くんを優先する、などということはまったくもって不可能になってしまうので「女性」はなるべく伏せておりました。
むろん、到着したメンバーは、美奈子さんにビックリ!
だって、あの憧れの奥さんが、若くて独身になっているわけなのですから、それはたまりません。
それでも西条くんと孝昭くんさえ制止できれば、他の面々が暴走するようなことはないので、この人数は悪くありませんでした。
しかし。この花火大会はもっとビックリでした。
だって、始めてからずーーーーーーーーーーっと、ドラゴンだけ。
みなさんはご経験ありますでしょうか?ずっと同じ花火が続く苦痛。
たまに混じる線香花火が、まるで宝石のように美しく見えました。
いいかげんドラゴンに飽きた僕たちは、ヒソヒソとグレート井上くんのことを話していました。
「しかし驚きだな。あの井上がねぇ。奥さんにはさほど興味なさそうだったのにね」
まぁ「奥さん」に興味があるっていうコイツらも困りものではあるのですが・・・・。
「いや。確かによく見ると違うんだよね。なんか奥さんより活発さがあるっていうかさ」
「ふうん。そこにまいっちゃったのかな」
「どうやら。ほとんど一目惚れだったんだよ」
「それでも俺らより2つも上だろ?」
「女子大生だからね」
「井上ってサ。妹の夕子ちゃんがめちゃくちゃカワイイだろ?年下はダメなんだよな。きっと」
孝昭くんにしては、たいへん核心をついた分析でした。
「そりゃさすがの井上君でも実らんだろう?」
そんなこと、グレート井上くんも百も承知に違いありませんでした。
でも、今までもメンバーの「恋」にはいつもみんなが協力しました。そこには「たいていフラれる」という安堵感があったからなのですが。
「先輩!」
この花火を無視したひそひそ話に、ジェミーが激怒。
「先輩、僕にばっかりやらせて、花火見てないでしょ!」
「え?んー。大丈夫。もう暗記したから。ドラゴン」
「よーし。先輩がたがそういうつもりなら・・・!」
そう言うなりジェミーは、10本ほどのドラゴンにいっきに火をつけると、それをこちらに投げつけ始めたのです!
「ば、ばか~~~!な、なにする! う、うわっっち、あちぃー!」
危ねーの危なくないの!
「うわぁ!あち!このバカ!あちちちちち!」
もちろん、西条くんや孝昭くんがやられっぱなし、ということはなく、そのドラゴンをひろってジェミーに投げ返します。
が、ジェミーは、次から次にドラゴンに火をつけ、あたりかまわず投げつけます。
阿鼻叫喚!
飛び交う火の粉!
ちょうど雪合戦をドラゴンでやっているようなものです。危ないとかそういうレベルではありません。
まーーーー熱いわ熱いわ!
皮肉なことに、これが本日、一番美しい花火でした。
この騒ぎを見ていた美奈子さんは、おなかをかかえて笑っていました。
その横で、幸せそうなグレート井上くん。
でも、楽しい時間は、花火と同じように一瞬で過ぎて行きます。
「遅くなる前に帰りましょうか」
「そうですね」
「今夜はほんっと楽しかった!ありがとう、井上くん。みんな」
時計は9時半をまわっていました。
僕たちが帰ろうとした際、噂通りバイクに乗った若者が数名現れましたが、これも予想通り、西条くんと孝昭くんがあっけなく追っ払いました。
空には満点の星。
最後に美奈子さんが言いました。
「そうそう。今日はウルトラマン一家、マクドナルドでハンバーガー食べてたわ。8mくらいあったかしら」
僕たちは笑いました。が、当時の田舎者はマクドナルドなど、まったく知らないのでした(哀)。
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- 5章:第9話 夏まつりの夜(1)
- 5章:第8話 ドラゴン大会(2)
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いやー、今夜の星はとてもきれいでした。
井上君の恋は、流れ星に願いを託したのか
それとも流れ星のごとく、星屑になったのか
とても気がかりです。
>「はい!奇麗でしたね!では次はなんだと思いますか~?みなさん!」
>「・・・ドラゴン・・・・」。
爆笑!
えっとですねー。ほのぼのしていると思うのはグレート井上くんのとこだけであって、実際はみんな火傷をおいましたので(馬鹿ですよねぇ)軽傷者11名を数える生き地獄だったのですよ。
それにしてもドラゴン。投げても消えないってすごかったですね。
あと、当時のドラゴンは今よりずっと長くついていました。
おかげさまで、私も火傷おいました。足に。
Blackyさん、こんばんは。
いやぁ。帰省と停電で返事が遅れてしまいましたぁ。
もうすわけねぇっす。
でもBlackyさんの感想部分は「爆笑」だけ。
えっと。なんて返せばいいんでしょ?
もうこちらは見ていないかも知れませんが…。
最早何周しているか解らないぼくちゅうです。
毎回毎回、ドラゴン大会のこのシーンで爆笑してしまいます。ジェミーの打たれ強さというか、ある意味天然な…凄く可愛いんですけどね!
ジェミーとママチャリ一味の温度差&掛け合いに今回も腹を抱えてしまいました。(ジェミー登場の時は大抵爆笑するのですが)
いや~本当に色褪せないですね、ぼくちゅうは!
何度も読んで何度も笑える作品ってそうそうありません。そんなぼくちゅう出会えた事が嬉しいです。
ドラゴン大会の場面好きです