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「巡査ぁあああああ!」
怒る元ヤクザに、
「まぁ、これで車で帰る気にはならんだろう」
もっともな理屈をつける現役警察官。
でも、それだけではなく、
「ケン坊。それともなにか?お前がパトカーにしたことを忘れたとでも?」
「ぐっ・・・・・・・!」
ケンちゃんがパトカーにしたこと?
駐在さんと、ケンちゃんにいったいどういう過去があったと言うのでしょう?
いずれにせよ、パトカーに悪戯するなど、とんでもない話です。
それから2人は、あれやこれや言い合って。
結局は、「飲み直し」と称して、2人揃って歓楽街へと向かいました。
もちろん、駐在さんは僕にも、
「ママチャリはどうする?」
そう聞いてくれましたが、
そこには、やっぱり、僕には入り込めない、友情みたいなものがあったことは確かで。
「いえ・・・・僕は、謝らなくっちゃいけない人がいるんで・・・・・」
その誘いを断りました。
とは言ってはみたものの・・・・。
僕がいまさら、修羅場のカトリーヌにもどれるわけもなく。
僕は、店内から聞こえる、
エスカレートする乱痴気騒ぎを聞きながら、ひたすら彼女が出て来るのを待ちました。
ひたすら。
どういうわけか、店内で乱れまくっていたカップルと、
それに釣られるように、ゲームのようにキスしていたスケバンたちが頭に浮かんで、
ひょっとすると、花ちゃんも今頃・・・・
そう考えると、どうしたわけか気が気ではなくって。
待て待て待て・・・・彼女は井上の・・・・・
分かっているのに、雑念が頭をかけめぐるのはなぜ?
そんな僕の熱をさますかのように。
「雪だ・・・・・」

いつの間にか本降りになっていた雪が、
やむことなく、僕に降り注いでいました。
「寒い・・・・」
僕はしかたなく、近くにあった電話ボックスに入りました。
いくぶんですが、風が当たらないだけ、ましでした。
どれくらいたったのか。実は正確には分からないのですが、
電話ボックスの扉が開いて、
「かんにん・・・・」
あれ・・・?
「あ・・・いや・・・・」
謝るのは僕のほう・・・・・・。
そう言おうと思ったら、彼女は狭い電話ボックスの中に入って来たのです。
「あのおまわりさんなぁ、よう考えたら会うたことある・・・・」
「え?」
「ウチがこっち来た時な、電話ボックスで泣いとったの、助けてくれたおまわりさんや・・・・」
え・・・・・・・・・・?
「電話ボックスだって・・・・・?」
ひょっとして、その時、ラジオから井上の声がした?
(『マスカレードGS・BS参照』)
「そっか・・・・君があの時の・・・・・・」
あれ、花ちゃん、だったのか・・・・・・。
なんで今日まで気づかなかったんだろう・・・・・。
電話ボックスの外。
雪は降り続けていました。
「出ようか?」
実のところ、花ちゃんはひどく酒くさかったので、
そう言ったのですが、
きっと、加熱したカップルに当てられたのでしょう。
花ちゃんは、首をふって、
僕に、そっと、
「ジュワイユーノエル・・・・」
白い息で、確かにそう言いました。
「え?それ、フランス語?」
僕が聞くと、
「え?ウチ、フランス語しゃべりよった?」
「そう聞こえた」間違いなく。
「へぇ・・・・・・・なんて?」
自分で言っておいて、尋ねるというのも奇妙には思えたのですが。
あるいは酔っているからかも知れません。
花ちゃんは、フランスで生まれて、小さい頃をフランスで過ごしましたが、すでにフランス語をまったく覚えていないと言います。
「なんとかノエルって・・・・・ジュワイユ?」
彼女は、その言葉を聞くと、
「それ・・・・フランス語のメリークリスマス・・・・・」
「そうなんだ?」
それから、なにかを思い出したらしく
「おかあちゃんが・・・・・教えてくれはったん・・・・・」
「おかあちゃんが・・・・・」
「おかあちゃん、生きてはった・・・・・。ウチの中に・・・・・・」
花ちゃん・・・・
白くくもる電話ボックスの外。
雪は降り続いていました。
joyeux noël
フランス語で、メリークリスマス。
--- おしまい ---

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怒る元ヤクザに、
「まぁ、これで車で帰る気にはならんだろう」
もっともな理屈をつける現役警察官。
でも、それだけではなく、
「ケン坊。それともなにか?お前がパトカーにしたことを忘れたとでも?」
「ぐっ・・・・・・・!」
ケンちゃんがパトカーにしたこと?
駐在さんと、ケンちゃんにいったいどういう過去があったと言うのでしょう?
いずれにせよ、パトカーに悪戯するなど、とんでもない話です。
それから2人は、あれやこれや言い合って。
結局は、「飲み直し」と称して、2人揃って歓楽街へと向かいました。
もちろん、駐在さんは僕にも、
「ママチャリはどうする?」
そう聞いてくれましたが、
そこには、やっぱり、僕には入り込めない、友情みたいなものがあったことは確かで。
「いえ・・・・僕は、謝らなくっちゃいけない人がいるんで・・・・・」
その誘いを断りました。
とは言ってはみたものの・・・・。
僕がいまさら、修羅場のカトリーヌにもどれるわけもなく。
僕は、店内から聞こえる、
エスカレートする乱痴気騒ぎを聞きながら、ひたすら彼女が出て来るのを待ちました。
ひたすら。
どういうわけか、店内で乱れまくっていたカップルと、
それに釣られるように、ゲームのようにキスしていたスケバンたちが頭に浮かんで、
ひょっとすると、花ちゃんも今頃・・・・
そう考えると、どうしたわけか気が気ではなくって。
待て待て待て・・・・彼女は井上の・・・・・
分かっているのに、雑念が頭をかけめぐるのはなぜ?
そんな僕の熱をさますかのように。
「雪だ・・・・・」

いつの間にか本降りになっていた雪が、
やむことなく、僕に降り注いでいました。
「寒い・・・・」
僕はしかたなく、近くにあった電話ボックスに入りました。
いくぶんですが、風が当たらないだけ、ましでした。
どれくらいたったのか。実は正確には分からないのですが、
電話ボックスの扉が開いて、
「かんにん・・・・」
あれ・・・?
「あ・・・いや・・・・」
謝るのは僕のほう・・・・・・。
そう言おうと思ったら、彼女は狭い電話ボックスの中に入って来たのです。
「あのおまわりさんなぁ、よう考えたら会うたことある・・・・」
「え?」
「ウチがこっち来た時な、電話ボックスで泣いとったの、助けてくれたおまわりさんや・・・・」
え・・・・・・・・・・?
「電話ボックスだって・・・・・?」
ひょっとして、その時、ラジオから井上の声がした?
(『マスカレードGS・BS参照』)
「そっか・・・・君があの時の・・・・・・」
あれ、花ちゃん、だったのか・・・・・・。
なんで今日まで気づかなかったんだろう・・・・・。
電話ボックスの外。
雪は降り続けていました。
「出ようか?」
実のところ、花ちゃんはひどく酒くさかったので、
そう言ったのですが、
きっと、加熱したカップルに当てられたのでしょう。
花ちゃんは、首をふって、
僕に、そっと、
「ジュワイユーノエル・・・・」
白い息で、確かにそう言いました。
「え?それ、フランス語?」
僕が聞くと、
「え?ウチ、フランス語しゃべりよった?」
「そう聞こえた」間違いなく。
「へぇ・・・・・・・なんて?」
自分で言っておいて、尋ねるというのも奇妙には思えたのですが。
あるいは酔っているからかも知れません。
花ちゃんは、フランスで生まれて、小さい頃をフランスで過ごしましたが、すでにフランス語をまったく覚えていないと言います。
「なんとかノエルって・・・・・ジュワイユ?」
彼女は、その言葉を聞くと、
「それ・・・・フランス語のメリークリスマス・・・・・」
「そうなんだ?」
それから、なにかを思い出したらしく
「おかあちゃんが・・・・・教えてくれはったん・・・・・」
「おかあちゃんが・・・・・」
「おかあちゃん、生きてはった・・・・・。ウチの中に・・・・・・」
花ちゃん・・・・
白くくもる電話ボックスの外。
雪は降り続いていました。
joyeux noël
フランス語で、メリークリスマス。
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- ネタ晴れ『ぼくちゅう23巻』
- Noël(最終話)
- Noël(11)
うぁぁぁぁぁぁん!ええ話やー泣
ああ、25日0時を少し過ぎてしまったー。
>ALL
遅ればせながら、メリークリスマス。
joyeux noël
うわあああああ!
なんか叫びたくなりました!
めっちゃ感動しました!
くろわっさんのコメントがまた男前やー泣
メリークリスマス!
とっても素敵なプレゼントをありがとうございました!
めちゃくちゃ面白かった&感動しました!
パトカーに悪戯だなんて、とんでもねーですよね!
そんな事する奴、いたら見てみてーですよ、全く(笑)
ぼくちゅうは、いつもズルイーーー!
こんな素敵なラストとは・・・・・
いいなぁ。。。。。。(*´∇`*)
この日までママチャリは
あの日の人が花ちゃんって事を
気付いて無かったんだぁ…
無意識の内に出たのはやっぱり
心の中に在り続けたからなんだなぁ
すっごく素敵なラストでした。やっぱりぼく駐の世界はいいですねぇ。
遅ればせながら、くろわっさん、皆さん、メリークリスマス♪
だから、フランス語がデザインされたのが、あったんですね!
情景を想像すると・・素敵ですねぇ。
どんな ハチャメチャになるかと思っていたら
しっとりとしたラストになりました。
いいですねぇ。
メリークリスマス!
みんなに 幸せが来ますように…
うわぁ…じーんとしました.:*:・'°☆
素敵なクリスマスプレゼント
ありがとぉございます
駐在さん、花ちゃんにあったことがあるとは……
真面目に巡回してたんですね……
クリスマスにもってこいの話です!!!
素敵なプレゼントをありがとうございました!
メリークリスマスです!
最後はビシッとしまってとても良かったです(^ ^)
自分が酒飲んでないときは
他人の酒の臭いって
よくわかります
入り込めない二人の絆があるんですね!!
素敵な最終回でした!
Merry Christmas!
駐在さんのような人、惹かれるわ〜♡
パトカーにイタズラするって、とんでもない話ですよね、そうですよね?くろわっさん?(笑)
雪動画が挟まれるの、感動です!
セツナイナァ・・・・
なんか、じーんときました、。
ママチャリと駐在さんの間にも、今はそういう絆ができてるんだろうなー…
うーん…
いい話ですね( ´艸`)
駐在さんが車に落書きしてた時はどうなるかと思いましたけど…
メリークリスマス
でも、ケンちゃん何したの?
ああ~感動した~駐在さんもやっぱいい人(?笑)だな~
お疲れ様でした!
感動的ですね
じゅわいゆ のえる
何て読むんだろうと思っていたら、そんな意味だったのですね
花ちゃんかわいい、、、
2014年もぼくちゅうにお世話になりました。
来年もおねがいします
少し遅れてしまいましたが、
メリークリスマス
少し切ないお話でした。