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<おことわり>
みなさま。8章、長らくのおつきあい。まことにありがとうございました。
本日2話連続アップで、フィナーレです。
8章[マリア様によろしく]第48話 メーデー(2)
「だいぶ小降りになってるな」。
「ああ。行こう。ここにいてもしょうがない」。
<おことわり>
みなさま。8章、長らくのおつきあい。まことにありがとうございました。
本日2話連続アップで、フィナーレです。
8章[マリア様によろしく]第48話 メーデー(2)
「だいぶ小降りになってるな」。
「ああ。行こう。ここにいてもしょうがない」。
そして僕たちはまた滑り始めました。
もうあたりは暗く、ゴーグルをしていられません。
僕たちの目に直接吹雪が当たります。
夜の雪面は、雪明かりでほんのりと明るくなり、真っ暗になるということはありません。
しかし、ほとんど雪の凹凸はわからなくなります。
「スピード、出せないな」。
「うん。全員ボーゲンに切り替えたほうがいいか?」
と、この会話をした時のことです。
「うわっ!」
森田くんが斜面にある草に足をとられて転倒しました。
このツアーでは、ジェミー以外で初めての転倒です。
「森田ぁ!だいじょうぶか!」
「うん・・・。だい、じょぶ・・・」。
が、森田くん、起き上がれません。
「ありゃ。骨折したか?森田」。
「いや・・・そこまでの痛みじゃない・・・」。
僕の手につかまり、ようやく立ち上がりましたが、外れたスキーをとりに行こうとすると
「やばい・・・。ひねったかなんかしてる」。
「滑れそうか?」
「ちょっと厳しいかも・・・」。
「そっか・・・」。
「先、行ってくれ。後から追いかける」。
「バカ言え。だいじょぶだ。心配するな」。
「みんなー。リュックの紐はずせ」。
僕たちは西条くんのリードで各自のリュックの止め用の紐をはずしました。
とれないものはナイフで切断します。
それを集めると、孝昭くんのストックと森田くんのストックをクロスさせて、森田くんのスキーを固定しました。
そうです。非常用のソリをつくったのです。
僕たちはツアースキーが初めてというわけではありませんでしたから、何度かこの「臨時ソリ」を作ったことがありました。
そこに森田くんを座らせると、ビンディング(スキーの留め具)に、ストックの取手をからませ、後ろにのばします。
その1本ずつをスキーの上手い千葉くんと孝昭くんが持ちます。
2人がかりじゃないとブレーキがきかないからです。
「よっしゃ!行こうか。森田。悪いが体重移動はしてくれよ」。
「わかった」。
「行くぞ!」
森田くんの「ソリ」を後ろから千葉くんたちがボーゲンでひっぱって下ります。
なんだかんだ言いながらも、最もブレーキのきく滑走方法はボーゲンなのです。
先行は、千葉くんに変わって西条くん。
「森田左!」
「右!」
「左!」
孝昭くんのかけ声に従って、千葉くんと森田くんが方向を変えます。
ここまではうまく下れました。
「よーし。ストーップ!」
孝昭くんが全員を止めます。
「ひくの変わってくれ」。
「よっしゃ」。
今度は河野会長と西条くんがソリをひく係です。
と・・・・。この時でした。
突然として雪がやんだかと思うと、みるみるうちに空には大きな月。
やがて月明かりは、雪原を照らし、キラキラと輝きだしました。
その美しさ・・・。
「ああ・・・・・マリア様・・・」。
森田くんが言いました。
「ははは。森田。すっかりキリスト教だな」。
「恵美ちゃん教だろ?」
「え。別に般若心経でもいいけど」。
「よせよ。この景色がだいなしだ」。
ストックで指した孝昭くん。その方向に、町の明かりが輝いていました。
「うわーーーー。奇麗だなーーーー」。
「うん。冬の空気、澄んでるからな」。
「見ろ。あそこ」。
「赤色灯だぁ」。
「うん。駐在のパトカーかな」。
「もう少し台数いるな。まー、ぐだぐだ言ってもしかたないけど」。
そうです。そこがのぶくんのいる施設に違いありませんでした。
そこから閃光のようなものが、定期的に光っていました。
「なんだ?あれ」。
「フラッシュみたいだけど」。
「森田。2メータの電源、入れてみろよ」。
再び無線機の電源を入れる森田くん。
”みんな。光、見える?こっちからストロボたいてるのよ”
それは定期的に繰り返されていました。
”みんな。光、見える?こっちからストロボたいてるの”
「おい。こっちからもフラッシュたけ」。
これをうけて、ジェミーがカメラを取り出し、フラッシュをたきました。
2度。3度。4度。
”あ!みんなー!見える!見えるよ!”
”見えた!見えたよ!みんな”
「あれ・・・」。
「今、美奈子さん、泣いてなかったか?」
「うん・・・。そう聴こえた・・・」。
すると今度は
”おにいちゃんたちーーーーーー”
「のぶだ!」
「ほ、ほんとだよ。のぶくんだよ」。
”こっちだよーーーーー”
ジェミーはうれしそうにフラッシュをたき続けます。
僕たちは顔を見合わせました。
全員が笑顔です。
やはり強がっていても遭難。心のどこかでは、不安だったのでしょう。
「さぁ!行くか!」
「おお!」
月明かりがともると、間もなく雪面は突然堅くアイスバーンになります。
スキーのエッジ(角)は、きかなくなりますから、ソリをひっぱるのが重労働になってきます。
それでも慣れてきたのか、僕たちは、さっきまでよりはずいぶんと速度が上がっていました。
そして目的地直前で停止した僕たち。
「よし。みんな!あと少しだ。がんばったなー」。
「ソリ、変わってくれ。次、久保と・・・」
「あ・・・その前に・・・」。
久保くん。
「まさか・・・・久保・・・・」。
「うん。ちょっと”ハッピーニューイヤー”・・・・」
「ええええええ」。
本日は2話連続アップです。第49話へどうぞ→
もうあたりは暗く、ゴーグルをしていられません。
僕たちの目に直接吹雪が当たります。
夜の雪面は、雪明かりでほんのりと明るくなり、真っ暗になるということはありません。
しかし、ほとんど雪の凹凸はわからなくなります。
「スピード、出せないな」。
「うん。全員ボーゲンに切り替えたほうがいいか?」
と、この会話をした時のことです。
「うわっ!」
森田くんが斜面にある草に足をとられて転倒しました。
このツアーでは、ジェミー以外で初めての転倒です。
「森田ぁ!だいじょうぶか!」
「うん・・・。だい、じょぶ・・・」。
が、森田くん、起き上がれません。
「ありゃ。骨折したか?森田」。
「いや・・・そこまでの痛みじゃない・・・」。
僕の手につかまり、ようやく立ち上がりましたが、外れたスキーをとりに行こうとすると
「やばい・・・。ひねったかなんかしてる」。
「滑れそうか?」
「ちょっと厳しいかも・・・」。
「そっか・・・」。
「先、行ってくれ。後から追いかける」。
「バカ言え。だいじょぶだ。心配するな」。
「みんなー。リュックの紐はずせ」。
僕たちは西条くんのリードで各自のリュックの止め用の紐をはずしました。
とれないものはナイフで切断します。
それを集めると、孝昭くんのストックと森田くんのストックをクロスさせて、森田くんのスキーを固定しました。
そうです。非常用のソリをつくったのです。
僕たちはツアースキーが初めてというわけではありませんでしたから、何度かこの「臨時ソリ」を作ったことがありました。
そこに森田くんを座らせると、ビンディング(スキーの留め具)に、ストックの取手をからませ、後ろにのばします。
その1本ずつをスキーの上手い千葉くんと孝昭くんが持ちます。
2人がかりじゃないとブレーキがきかないからです。
「よっしゃ!行こうか。森田。悪いが体重移動はしてくれよ」。
「わかった」。
「行くぞ!」
森田くんの「ソリ」を後ろから千葉くんたちがボーゲンでひっぱって下ります。
なんだかんだ言いながらも、最もブレーキのきく滑走方法はボーゲンなのです。
先行は、千葉くんに変わって西条くん。
「森田左!」
「右!」
「左!」
孝昭くんのかけ声に従って、千葉くんと森田くんが方向を変えます。
ここまではうまく下れました。
「よーし。ストーップ!」
孝昭くんが全員を止めます。
「ひくの変わってくれ」。
「よっしゃ」。
今度は河野会長と西条くんがソリをひく係です。
と・・・・。この時でした。
突然として雪がやんだかと思うと、みるみるうちに空には大きな月。
やがて月明かりは、雪原を照らし、キラキラと輝きだしました。
その美しさ・・・。
「ああ・・・・・マリア様・・・」。
森田くんが言いました。
「ははは。森田。すっかりキリスト教だな」。
「恵美ちゃん教だろ?」
「え。別に般若心経でもいいけど」。
「よせよ。この景色がだいなしだ」。
ストックで指した孝昭くん。その方向に、町の明かりが輝いていました。
「うわーーーー。奇麗だなーーーー」。
「うん。冬の空気、澄んでるからな」。
「見ろ。あそこ」。
「赤色灯だぁ」。
「うん。駐在のパトカーかな」。
「もう少し台数いるな。まー、ぐだぐだ言ってもしかたないけど」。
そうです。そこがのぶくんのいる施設に違いありませんでした。
そこから閃光のようなものが、定期的に光っていました。
「なんだ?あれ」。
「フラッシュみたいだけど」。
「森田。2メータの電源、入れてみろよ」。
再び無線機の電源を入れる森田くん。
”みんな。光、見える?こっちからストロボたいてるのよ”
それは定期的に繰り返されていました。
”みんな。光、見える?こっちからストロボたいてるの”
「おい。こっちからもフラッシュたけ」。
これをうけて、ジェミーがカメラを取り出し、フラッシュをたきました。
2度。3度。4度。
”あ!みんなー!見える!見えるよ!”
”見えた!見えたよ!みんな”
「あれ・・・」。
「今、美奈子さん、泣いてなかったか?」
「うん・・・。そう聴こえた・・・」。
すると今度は
”おにいちゃんたちーーーーーー”
「のぶだ!」
「ほ、ほんとだよ。のぶくんだよ」。
”こっちだよーーーーー”
ジェミーはうれしそうにフラッシュをたき続けます。
僕たちは顔を見合わせました。
全員が笑顔です。
やはり強がっていても遭難。心のどこかでは、不安だったのでしょう。
「さぁ!行くか!」
「おお!」
月明かりがともると、間もなく雪面は突然堅くアイスバーンになります。
スキーのエッジ(角)は、きかなくなりますから、ソリをひっぱるのが重労働になってきます。
それでも慣れてきたのか、僕たちは、さっきまでよりはずいぶんと速度が上がっていました。
そして目的地直前で停止した僕たち。
「よし。みんな!あと少しだ。がんばったなー」。
「ソリ、変わってくれ。次、久保と・・・」
「あ・・・その前に・・・」。
久保くん。
「まさか・・・・久保・・・・」。
「うん。ちょっと”ハッピーニューイヤー”・・・・」
「ええええええ」。
本日は2話連続アップです。第49話へどうぞ→
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- 8章-第49話 マリア様によろしく
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昔のスキーは今と違って簡単にはずれずよく骨折者が出てたって聞いてます・・・ひねっただけですんで何より・・・
ハゥデュユーデゥ?笑
久保君やっぱりこんなときにもですか(笑
しかも今回はハッピーニューイヤーですかww
最近通いはじめました。とてもおもしろいです。
ハッピーニューイヤーって・・・・
えええええええ・・・(つд⊂)ゴシゴシ
いっつも悩むんですが…
西条くんも
森田くんも
ママチャリさんもかっこぃぃのに…
なんで久保くんやジェミーが果てしなく気になるんでしょうか。
素敵…(*´艸`)
フィナーレに向けてもう既にウルウル・・
してたのに、久保くんの
>”ハッピーニューイヤー”
・・意味を理解して爆笑w
ゴールまでもう少しですね。みんながんばれ~。
のぶ君、元気だったんだねぇ(´∀`)
うんうん、おいらも逢いたかったよ…
しかし、久保…
キンチョー感のない尻だな、もうwww
あ、キンチョーし過ぎで「ハッピーニューイヤー」なのか…
お互いにハプニングがあったら遠慮せず助け合う。
結構助けられるほうって気を使うじゃないですか。
でも、その助けを素直に受け入れられる関係っていいですよねぇ。。。
改めてママチャリ軍団羨ましくなりました。
フィナーレに向けて改めて復習してこよう♪
のぶ君にまで心配かけて、、、
あげくにハッピーニューイヤー、、、、
口に何も入ってなくて良かった。
雪原を照らす月・・・キレーでしょうねぇー
美奈子さんの涙声;;(T-T) ウルウル
続きが楽しみですー。
はっぴーにゅーいやー・・・・Σ(T□T)
無事にみんなのもとに帰って来れてよかったね。
森田くん、恵美ちゃんが心配してるよ!
早く安心させてあげなされ
久保君、相変わらずだねえ。大事なときに催すっていうのは・・・。ひょっとして、彼はプロポーズの時も”ハッピーニューイヤー”したんじゃ?・・・
あと一話で完結ですか…。お疲れサマです!
下の皆はホントに心配してたでしょうね。手のかかる子ほど可愛いもんですしね。笑
久保くんはどこで年を明けるつもりなんでしょうか??笑
雪と月明かりの美しさ、目に浮かぶようです。
スキーに慣れているとはいえ、暗い雪山での遭難、
やっぱり、ちょっとは心細かったんですね。
ハプニングもあったけれど、下山できそうで良かったです。
後は、久保くんの『ハッピーニューイヤー』をどうするか・・・が問題ですね(^^;)
森田クン大丈夫かなぁ…のぶクンだぁ…麓の灯りだぁ…
よかったと涙ぐむ間もなくハッピーニューイヤー( ̄▽ ̄;
く…久保クン…
ここにもいたか…マイペース野郎(o_ _)〃☆
緊張も緩和もダメなんかいッwww
そしてのりぞぉサンの米の『緊張感のないシリ』にトドメ刺されましたwww
久保くんってば・・・ハッピ-ニューイヤー(:_;)
泣く準備して読んでたのに、大笑い!
サバイバルな経験に伴う知識があるってカッコイイですね! スキー板とストックででソリを作っちゃうとか針をストロボでショートさせて磁石作っちゃうとか(どっちが北かは分からなかったけど・・・)それから無線用語ってカッコイイんですね、少し前だけど「Love&Kiss88」が女性に対しての(さようなら)ってキュンとしちゃいましたよー。
大きな月が出て雪原をキラキラと照らしている様、はさぞかし奇麗だったんでしょうね! ここを読んでいるときはその光景が目に浮かびました・・・
でも、プチ遭難のおかげ(?)で駐在さんものぶくんに会えたんですから良かったよかった、結果オーライ! かな?
はっwwwぴーwwwにゅうwwww
いやぁぁぁぁぁあっwww
(*ノ∀`)久保自重wwww
山で遭難って結構多いときくんですが、その場合は高い山に登る登山者かぁ、小さい山だと安心してハイキング気分で行ってしまう、中高年のおじ様、おば様・・・。
若い高校生が大勢で、遭難騒ぎ、麓ではきっと温かいお説教が待っているんでしょうネ。
のぶくんにも逢えて、バンバンザイ!!!
久保くん・・・
(T^T)を返して~♪
久保さんは活躍の場を心得てますね♪(^∀^)
突然雪がやんで見えた雪景色と町の明かり
どんなに綺麗だったことでしょう☆