ぼくたちと駐在さんの700日戦争

「和美・・・・・・・」

和美ちゃんが僕の前に横たわっています。

下着はおろか。
一糸まとわず。

僕は、息をのんで、彼女にそっと近寄ります。

彼女の唇にやさしく触れようとすると

「なにやってんのよ！」

「げ！小町！なんでここに？」

「なんで気やすくさわるわけ!?このスケベ!!」

「い、いや。これは、ち、ちがう・・・・・・」

「ママチャリくんてば。私が好きだったんじゃなかったの？」

「お、お、奥さん！」

「やっぱり、人妻はダメね・・・・・・」

「そ、そそ、そんなことは！駐在さんと別れたあかつきにはきっと・・・・」

「ママチャリぃ！公然淫行罪で逮捕するぅ～～～～～～～～～～！」

「げ！駐在っ!!??」


【海外在住読者向け特別編】

すもももももも

『第1話 ワッショイ！(1)』


6月1日。晴れ。

天気はどうでもいいのですが、この日が共学校の男子高校生にとって、いかに大切な日であるかは、いまさら説明には及ばないかも知れません。

そうです。「ころも替え」。

どこの学校も、この日を境に、女子はブラウス、男子はワイシャツ（後者はどうでもよい）になり、学校がパァっと明るく、さわやかになります。

特に、女子が2/3以上を占めているという「恵まれた環境」の我が校においては、前日である5月末日までとはまるで別世界！
西条くん曰く「白い花園」。

あ々・・・・男子校の皆様。謹んでお悔やみ申し上げます。

「俺は衣替えつくったやつを表彰してやりたい！」
と、西条くん。

衣替えは「発明品」ではないと思うのですが。

「プール開きつくったやつは、もっと褒めてやりたい！」

プール開きも「発明品」ではありませんが、つまりは「そういう基準」です。

が、西条くんならずとも、衣替え直後の女子のブラウス姿は、多くの男子生徒にとって、やはり特別なものでした。

その純白さは、彼女たちを（中身はどうあれ）ことさら清純に見せましたし、襟元のボタンの隙間から時折かいま見える胸元。
そしてなによりなにより背中にくっきりと浮かぶ

　 ┴┴！

そう！ブラのライン！
ああ・・・男子校の皆様。謹んでザマミロです。

それだって、数日もすれば、それなりに見慣れてしまうのですが、衣替え当日は、どうしても男子生徒のテンションは「高止まり」してしまうのでした。

「これぞ共学の醍醐味だよな！」

　ほらね。

アジト教室の話題は、「ころも替え」でもちきりです。

特に、西条くんは、朝からテンションマックスで、それを女子の前では「ひた隠し」てきたので、放課後に暴発。

「共学校を考えたやつって、なんでノーベル賞とらないんだろ？」

ノーベルの遺志がそこにないからです。

「とにかく、このサービスはたまんないよな～～～」

サービスでもないのですが。

「だよな、だよな！」
「賛成！」
「賛成！」
「異議なし！」
「以下同文！」

異議がないからと言って、なにひとつ変わることなどないのですが、
孝昭くんはじめ賛同者圧倒的多数。

民主主義と言うならば、アジト教室での結論は、

『衣替えという学校のサービスはたまらない』。

　ああ・・・男子高校生・・・。

しかし、問題はここからです。

衣替えは上半身の露出度が上がるので、当然ながら話題は「上半身」に集中。

「宮崎、去年より胸デカくなったと思わないか？」

いやいや。西条。自分の視点を全員に押し付けてはダメだろう。

みんながみんな、宮崎さんに注目してたと思ったら大間違い・・・、
「あ。西条も気づいてた？」
「だよな、だよな！」
・ ・・・ではありませんでした・・・。

「賛成！」「異議なし！」「以下同文！」

『類は友を呼ぶ』という孟子の格言(ウソ)を忘れておりました。

議会制民主主義により、「宮崎さんの胸は去年よりデカくなった」で可決。

しかも、その理由は

「やっぱ、宮崎、牛乳飲んだかな？」
「かもなー」

西条くんは、「胸は牛乳飲めば大きくなるもの」と、信じて疑いません。

「賛成！」「異議なし！」「以下同文！」

というわけで、『宮崎さんは牛乳飲んで去年より胸デカくした』決議案も採択。

こうして、次から次に、意味のない「議決」が定まって行く中、

「和美は見た？」



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　つづく→

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