ぼくたちと駐在さんの700日戦争

ジェミーは逃げました。が、僕と駐在さんは

「あなたたち！」

奥さんの前で並んで正座。

「なに考えてんの？」

「すいません・・・」。

おまけに並んで土下座。

なんで・・・・。

「いやぁ。美奈子ちゃんが泊まりに来てたの、すっかり忘れてた～」。

「あなたが入院したから、愛みてもらうのに、わざわざ来てもらったんでしょ!?」

「そうでした・・・」。

つまりは原因は駐在さん。腹たつ～～～～～～

「しかしなぁ。熱湯とはちとひどくないか？美奈子ちゃん」。
と、駐在さん。

「え？だって、これ・・・」。

美奈子さんが1枚の紙を見せました。

それは『駐在所だより』

『最近不審者が出ています。簡単な護身としてポットに熱湯などを常に用意しておきましょう。いざとなった時、不審者にかけると絶大な効果があります』(←本当)

「あぁ。これかぁ。わはははは。えらい！」

えらくねーーーーー！
そこもてめーが原因かいっ！


美奈子さん。
「それより、ママチャリくん。火傷だいじょうぶ？」

「あ・・・少し・・・でも、大丈夫です」。

それよりは、お湯が冷め始めて、体が冷え始めているのが堪えました。
いわゆる放射冷却で、室内だと言うのに、寒くてしかたありません。

「一応、病院、行きましょ？」

「はい？？」



ということで、なんと退院したての病院に強制送還。


カババァ。さすがにあきれ顔です。

「アンタって子は！なんで家でおとなしくしてらんないの？」

「まったくだぞ。ママチャリ」。

「おまわりさんは黙ってて！アンタもなんだから！」

「はい・・・」。

「おまわりさんと夜回りごっこする高校生なんて見たことないよ」。

「すいません・・・・」。

あっちでもこっちでも謝りっぱなしの僕です。

「アンタに和美ちゃんはあずけらんないね」。

「そんなぁ・・・。カババァ」。

と言ったとたんに

「クシャン！」
「クシャン！」
「クシャン！」

さっきの放射冷却が効いてきたのか、体がガタガタと震えはじめました。

「ママチャリくん。これ、かけて」。

美奈子さんが、上半身裸の僕に、カーディガンをかけてくださいました。

　あ・・・・いい匂い・・・

これが美奈子さんの匂いなんだ・・・。

ちょっとうっとりしてしまった僕に

「やっぱり和美ちゃんはあずけらんないわ」。

「ええええええ！」

「どれどれ？熱はぁ？」

体温計をとりあげて

「あ！アンタ！39度もあるじゃない！」

「え？ほんとですか？2度ずつ高いとかありませんか？」

「んあ？」
反応する「平熱」の駐在さん。

「そんなことあるわけないでしょ？」

あるんです。それが。

「とりあえず先生に見てもらおっか」。

「え！YAMAZAWAセンセイですか？」

「いや、今日の当直はねぇ・・・」。


「Hey！オルトギャザーーー!!!」

なんかまたヘンなのがやって来ました。

「ドモ。当直の佐野本　晴雄です」。

さのもと・・・はるお先生・・・。

大丈夫なのか？この病院・・・。


しかし病院の心配してる場合じゃありませんでした。

「ん～～～～？水疱瘡なってるね。キミ」。

「え～～～～～～～～～！」



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