ぼくたちと駐在さんの700日戦争

しかし、タカギで手間をくったのは正解だったかも知れません。

なぜなら孝昭チームは、孝昭くんとバナナちゃんだけ。

多少は2人の時間をつくろうという配慮は、豚にも

伝わる分けないか。

「おせーぞ！バカヤロー！」

待ち合わせは学校前。病院のすぐそばです。

「わりぃわりぃ。バーベキューするか迷ってて」

「？」

　ブ～～～～

「それより、孝昭ぃ。なに顔赤らめてんだ？こらぁ」

千葉くん。
「ひょっとしてあれか？乾布摩擦か？」

「なんで本人の前で乾布摩擦すんだよっ！」

「あ。言われてみたらそうだ」

バナナちゃん。さらに真っ赤になりまして
「あんたらはもーーーー！なんだってそうレディの前でも遠慮ないわけ？」

しかし、

「え！バナナぁ。だってお前、もう可能性ないじゃん。なぁ」
「うん。可能性なし」
「まったくない」

「か、可能性って？」

「俺らに恩恵ねーもん！」
「そうそう。今更、まっとうなフリしてもしかたねぇ」

つまりは「普段はまっとうではない」わけです。

「いくら美人でもエロ本に向かってかっこつけるヤツはいねぇ」。

「わたしがエロ本ですってぇーーーーー!?」

「いや・・・例えだよ。ストローベリー」
「そうそう。ストローベリー」

「まだ下着の柄覚えてたのかっ！」

「忘れません。一生」。
「忘れられません。一生」。

お前らの一生の価値って・・・。

さすがにバナナちゃん、切れました。

「こーーーーの二流高校どもがぁ！」

「あ。それ言ったらダメだろ。バナナ」
「そうだそうだ！」
「いくらKJ館でも許せねぇ」

「あ・・・ご、ごめんなさい・・・」

「俺らぁ、三流だよな！」
「そうそう。二流よりも一流多い」
「足し算できねぇのか！KJ館」

ううう・・・・情けない・・・・。

しかし、孝昭くんの顔の赤い理由は、本人目前の乾布摩擦ではありませんでした。

「え？あやしいヤツおっかけた？」

「ああ。トッポが気づいてな。バナナが先に」

「え？トッポが？」
「さすがだなぁ。豚と違って役たつ～～～」
「まったくだ。食用とはちがうぜ」

　　ブ～ブ～

「そいで？」

「逃げられたの」

「ああ、おしい！これが澪ちゃんだったら追いついてたかも」
「あ！そうだよな！澪ちゃん、足速いもんなー」

「澪って誰よ？」

「うーん。孝昭の元カノ？」

「えええええ！こら！なに言い出すんだ！てめーら！」

「いやぁ。元カノじゃないだろー」
「そうそう。正式に別れたわけじゃなし」

「別れるもなにもつきあってねーーーー!!!」

「だから別れてないじゃん」

幸せなヤツへの妨害工作には余念のない僕たちです。

そして、こういう場合に孝昭くんは、

「澪ちゃんはコイツだろ」

必ず僕にふるのです・・・。

「え？アンタって学校に彼女いたんじゃないの？和美って子」

「あー。いいんだ。こいつは手当たり次第なんだよ」
「そうそう。出席とれるほどだ」
「そうそう。和美は出席番号1番ってだけ」
「タカギでもいいんだ」

「よくないっ！」

「まーーーー！さいっっテーね！アンタ」

「いや・・・違うよ。バナナちゃん」

誤解を解こうと必死の僕ですが、

「ほら。女と見るとこの態度」
「誰でもちゃん付け」

「孝昭。お前もそろそろ、バナナかくしたほうがよくないか？」
「あ。そうだな。アブねー、アブねー。出席番号17番にされちゃかなわねぇ」

「孝昭ぃっ！」

「久保もタカギ隠せよ」
「お。そうだな。アブねー、アブねー。出席番号18番にされちゃかなわねぇ」

「あぶないわけあるかぁ！」

　ブ～～～～～

「そこで鳴くな！」

深夜というのに、大盛り上がりの僕たちでしたが、

「で。追っかけたヤツって誰だよ？」

「さぁ。わかんねー」

ようやく元の話にもどれました。

「車の番号は？」

「ライト消して走ってたからわかんなかったわ」

「車種は？」

「商用トラックだった。ライトエースかな？」

「ふーん。駐在に当て逃げしたヤツかな？」

「いや。根拠ないだろ。時間くらいしか」

じゃぁ、駐在さんに聴いてみよう、ということになりましたが
なにしろ伝染病療養中。

「病室入れるの、お前しかいないからよ。たのむぜ」

「え？僕？自宅療養中だぞ？」

「駐在はそうは思ってねーから」
「うん。絶対思ってない」

「出席番号1番連れて行って来い！」

「18番も貸そうか？」

「いらねーよっ！」

　ブ～～～～～



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